「着いた……」
4人はついに港町シッタにたどり着いた。
大きく開けた海にはいくつもの船が停泊している。
王国領なのもあって王国艦艇も停泊していた。
「一応王国領だ。もしかしたら情報が来てるかもしれない。気を抜くなよ。」
ショウは皆に釘を刺し、町の中へ歩いていく。
「ホントだ、兵士たちもいるな。」
町の中には兵士の姿もあった。
「ここにいるのは支部の連中だな。シッタ支部の王国兵だ。」
そう説明しながらも隠れることなく町の中を歩いていく。
「そんな堂々と歩いていていいの?」
アヤがあたりをキョロキョロしながら聞く。
「下手に隠れるとかえって目立つ。連絡が来ていないのなら堂々としていたほうが見つからない。それに入口に見張り兵がいなかったことからも大丈夫な可能性が高い。」
アヤは意味を理解し頷く。
「頭いいんですね、ショウさんは。」
マユがそう言って微笑む。
「何度か同じような状況に出くわしたしな。」
ショウは意味深にそう言うと武器屋のほうへ進路を変え、店の中に入っていく。
そしていろいろと調達しながらテルはさっき手に入れたスピタートルの甲羅の一部を売るためにカウンターにいる商売人に渡した。
「へぇ、珍しいこともあるもんだ。今日で二つ目だよ。」
商売人はスピタートルの甲羅を見てそう呟いた。
「二つ目?」
「今日の朝ごろなんだけど、女性が来てね、スピタートルの甲羅を売っていったんだ。」
その説明になんとなくその女性が誰であるか理解した。
昨日、王国脱出の際に手を組んだレオであろう。
一人、夜の間に海岸を抜けきり、今日の朝に売ったのであろう。
「そんな事よりいくらで買うんだ?」
ショウの催促に商売人は甲羅を持ち上げ、入念に状態を見る。
「少し、痛んではいるが元々高級品の1つだ。35000ユニタでどうだ?」
商売人の示した額に納得しショウは頷いた。
そして代金を貰い、4人は武器屋を後にする。
そしてすぐに道具屋で食べ物や飲み物、薬などを調達する。
「また荷物増えたな。」
テルの背中にはゴウから買ったバッグと新たにホシから買ったテントがある。
「旅は何があるか分からないからな。食べ物は多めに持っておいて損はない。」
ショウはそう言いながら店を出て行く。
4人は商店街を後にすると港へ向かう。
「さぁ、ここからが問題だな。嘘がばれなきゃ大丈夫だが。」
ショウがそう呟く理由を他の3人はこの時、理解していなかった。