「帝国領は反乱に備えて軍備強化中か。」
ショウはホシの話を聞き、何かを考えているようだった。
「反乱? 帝国?」
アヤはイマイチ意味が分からずショウに聞く。
「ソグノの北に位置するレグノ王国を中心とする王国領に対し、それの2倍ほどの領土を持つのがインペロ帝国だ。」
レグノ王国が北半球の半分ほどを領土としているのに対し、インペロ帝国は南半球のほとんどを領土としている。
「ちなみにエミスフェロ都市があるのはどちらの領土でもないよ。」
ショウの説明にアヤとテルがへーと感心する。
「それでは私はこれで……あ、助けてもらったお礼です。どうぞ。」
そう言って一本のロッドを渡す。
「なんか大げさだな。」
苦笑いしながらもショウはロッドを受け取り、マユに渡す。
マユ 「え?」
ショウ「マユの武器な。」
ショウがそう言ったのでマユは微笑み頭を下げると興味津々にロッドを眺める。
簡単に見ればアヤの槍が短くなり、刃がなくなったようなものだ。
アヤの魔槍と同じくルートが先端には取り付けられている。
「マユ様の魔力ならきっと使いこなせますよ。」
そう言うとホシはリュックをまとめて歩くために立ち上がる。
「それではあたしはあらたな商売のためにレグノ王国へ向かいます。皆さんもお気をつけてください。」
ホシはそう言い残しリュックを背負って颯爽と砂浜を駆けていった。
「さぁ、俺たちも行くか。だいぶ遅くなったし。」
テルはホシの後姿を眺めながらそう呟いた。
「あんたが怪我したからだけどね。」
アヤがそう言ってさっさと歩き出す。
「悪いって。」
テルはそう答えながら昨日の夜のアヤを思い出し、強がりなんだなと理解すると少し微笑んで歩き出す。
「なんかあったな。」
そんな二人を見てショウがそう呟く。
「何がですか?」
マユはよく分からずショウに聞く。
「なんでもないよ。」
ショウはそう答えて微笑むとマユと一緒に二人の後を追った。
レグノ王国西側・港・・・
武装した兵士たちが港を囲み厳重に警戒する。
その中を歩くカバリ隊長と手錠をされたリョウ。
「リョウ元隊長、あなたをプリジオネに収監する。」
カバリはそうとだけ言うとリョウを船にのせた。