「おう、起きたか。」
ショウがテルを見つけそう話しかける。
「迷惑かけたな。」
テルがそう言いながら苦笑いをする。
「それにマユ、ありがとな。」
ショウの横でマユがいろんな小道具を持ってお手伝いしているのを見つけ、テルがそう感謝の意を述べる。
「いえ、テル様こそ助けてくださりありがとうございます。」
マユはくったくの無い笑顔でそう答える。
「その、テル様っていうのはやめてくれないかな。」
テルは少し恥ずかしそうにマユにそう言う。
「……そうですか……ならばなんとお呼びすればいいでしょうか?」
マユは少し困った表情をしてそう聞く。
「普通にテルでいいよ。俺は王子でもないし。」
「……うーん、努力してみます。」
マユはそう言って大きく頷いた。
「テルが元気になったのは良かったんだが、問題があってな。4人に増えて寝る場所が足りないんだ……飯は問題無いんだが。」
ショウはそう難しそうな表情をしていた。
「とりあえず、飯はさっき倒したスピクラブのハサミ二つから蟹身が大量に取れたから、それを食べようと思ってな。」
直径1メートルはあろうかと思われるハサミ二つが火の中に放り込まれていた。
「寝床がな。」
今までショウが一人で使っていたテントに男2人女2人が寝れるわけもない。
3人で寝たときもぎりぎりの状態でもはや余裕は無かった。
そんな話をしている間にアヤもテントのほうに歩いてきていた。
「どうすっかなぁ……」
ショウがそう呟いて何気なく見た夜の海になにやら不思議なものが浮いていた。
「何かいます。」
マユも同じく夜の海に浮かぶ何かを見つける。
「クイールか!?」
テルがそう言って身構えるがどうやらクイールではなさそうである。
その海に浮くふしぎな物体の正体は巨大なリュックであり、ノルドベストで見たゴウのリュックよりかは一回り小さいものの、直径1メートル50センチ以上はありそうであった。
「人じゃないですか!?」
そのリュックの上には意識を失った人が乗っていた。
「人だ!!」
慌ててショウが海に入り、その人の下へと泳いでいく。
数メートル泳ぎ、リュックを掴み、顔を上げるとそこに横たわっていたのは女性であった。
「女……?」
女であることに驚きながらもテルは泳いでリュックとその女を海岸まで運んだ。