「くそっ……多い……」

建物の影から東門を眺めるショウは兵士の数の多さに険しい表情をしていた。

「でも、どんどん時間が経てば増えてくるぜ。」

テルがそう言う間にも準備を終え、自分の配置につくべく兵士が走ってきて門の周りで立ち止まった。

「あら、なんかお困り?」

突然テルたちの背後から声がして、4人は慌てて後ろを振り返る。

するとそこには何やら妖艶な香りを漂わせる一人の女性が壁にもたれていた。

その女性とは先ほど路地でテルたちを見かけた女性である。

「誰だ、てめぇ?」

ショウがその女を睨みながらそう聞く。

「あら、レディに対しててめぇはないんじゃない、坊や?」

ショウがイラッとした表情を見せながらさらにその女性を睨む。

右手は何が起こってもいいように大剣にかけられている。

「まぁいいわ、私はレオ。さすらいのルートディガーよ。」

レオは挑発するようにショウに向け話す。

「ルートディガーって、ショウと一緒?」

「あら、坊やもルートディガーだったの? これは失礼。」

レオの挑発的な服装に思わずテルは見とれてしまう。

それを見たアヤがテルの後頭部を殴り、口パクで最低と言っていた。

「そのルートディガーが俺たちに何の用だ?」

ショウは見とれることなくレオを睨む。

「いや、私もね。王国を出ようと思ってるんだけど、あの有様で。」

門の周りには兵士が50人ほど集まっている。

「簡単に言えば協力しましょってこと。」

レオがそう言うとショウはしばらくレオを睨んでいたが大剣から手を下ろした。

「分かった……協力しようか。」

ショウはそう言って再び門のほうへ目を移す。

「まずは私が一人で出て行って交渉する振りをするわ。そしてあなたたちが出てきて兵士が慌てたところに私が奇襲をいれる♪」

レオはそう言いながらショウに投げキッスを飛ばした。

ショウはそれを無視して門を睨む。

「もう、お堅いのね♪」

レオはそう言うと歩いて門の前の大通りへと姿を現した。

何もおびえることなく、門のほうへと歩いていくそレオ。

「ねぇ、通してもらえないかしら♪」

レオが挑発的な表情をしながら門へ近寄っていく。

「ただ今厳重警備中であります。誰一人この門をお通しすることはできません。」

兵士がそう言ってレオを止める。

「あら、そんなお堅いこと言わずに♪」

レオの妖艶な手が兵士の頬へと伸びた。



レグノ王国北門前・・・

(一体何のためにここへ戻ってきたのか、テル様は……)

北門を守るカバリ隊長は一人逃がしたテルが戻ってきたことを考えていた。

カバリ隊長と呼ばれる男が、この前テルたちを城から逃げるように助言をした男であった。

(ここに来たら私はテル様と戦わなくてはならない……おそらく、東か西から逃げて国外へ逃亡するであろう……)

カバリの周りにも門を守るべく集められた1番隊兵士たちが多数いた。

(そうであって欲しい……私はテラス様が現れるその時まで、ここにおらねばならないのだ……)