城外への脱出を果たしたテルたち。
しかし、城外にも兵士はたくさんおり、気を抜けない状況であった。
「スピアギア海岸は東だな。」
テルたちが脱出したのは城の西側である。
「でも兵士多いな。まるで逃げることが分かってるかのように……」
テルは町を徘徊している兵士たちを物陰から除いてそう呟いた。
「テラス様はヤミ隊長にこう命じていました。カバリ隊長に門と港を閉鎖するように伝える事と私を警備しろって言っていましたわ。」
マユはテルに微笑みながらそう喋る。
「そうなのか……俺たちの狙いがばれてるってことか。」
「なら時間が経てば経つほど不利になるな……早いとこ海岸へ逃げよう!」
ショウがそう言って路地を走っていく。
それを追って3人が走り出した。
それを路地に一人座っていた女性が横目に見つけ、何やら考えるような表情をしていた。
「でもよ、門が塞がってるって……」
「もたもたしてると完全閉鎖されるって事だ。早く逃げるぞ。」
ショウは時々兵士の存在を見つけては走りを止め、みんなを制止させながらも巧みに裏道を走り東門へと向かっていた。
「ねぇ、テル。」
アヤが最後尾でテルに話しかける。
「何?」
テルは少しビックリしたように後ろを振り向く。
「あんた、マユが好きなの?」
アヤが目を逸らしながらテルにそう聞く。
「なっ、なんだよいきなり……」
「いいじゃん別に……」
アヤが何やら元気なさげにそう言ってくるのでテルは何やら疑問に思いながら走る。
「ねぇ! どうなの!?」
突然、アヤがそう叫ぶとショウが慌ててアヤを止める。
「気持ちは分からんでもないが静かにしろ。それにテルはマユが好きなわけじゃない。」
ショウはアヤの耳元で小さくそう言うと、ショウは少し怒った表情をしながらアヤを睨むと再び、前を確認した。
テルはいつも温厚なショウがアヤに対し起こったことに驚いていた。
「……カバリ隊長は北門にいるようですわ。」
よく話を読めていないマユは何か聞こえてきたのか、自分たちに好都合の情報を皆に伝えた。
「それは、助かった。」
ショウはいつもの調子に戻り、また兵士たちの行動を監視しながら進んでいく。
「……もう。」
アヤはちょっとすねた感じになっていたがショウにテルはマユが好きなわけじゃないと聞いて少し安心したのか表情は軽くなっていた。
「な、なんだ?」
テルはイマイチわけが分からず一人そう呟いていた。