「……それでだ、ファリスは全てのルートを開放し、「ソグノ」を解き放つつもりだ。」
「ソグノを解き放つ?」
「「ソグノ」と言う名の古代兵器、そしてこの世界の2つの意味での「核」にあたると聞いている。」
「……古代兵器。」
アヤは古代兵器を想像して一人ぞっとなっていた。
「その古代兵器を封じるものこそが16もののオリジン・ルートだ。」
ルートの歴史について明かされていく。
「ルートとは人の「夢」と言い伝えられているが、実質は「魔力」の塊。その魔力が「ソグノ」を封じる力となっていると聞いている。」
森の中を進んでいく最中、何回かクイールと遭遇するもリョウが簡単に蹴散らしていた。
「16の魔道師は古代兵器「ソグノ」を作り出し、あまりにも強大すぎる力に恐れ、己の命を持って封じた。それが「オリジン・ルート」の始まりだそうだ。」
リョウの驚きの話にいつしか3人は静まり返りただひたすら森を歩いていた。
「だが、ファリスはルートを開放できない。」
「だったら意味ないんじゃ?」
「焦るな。ルートを開放できるのは、今俺が知る中で2人だけだ。」
「二人。」
テルがそう呟くとリョウは急に足を止めた。
「アヤとマユだ。」
「えっ!? 私!?」
アヤが突然すぎる事実に理解できず慌てる。
しかしリョウは冷静に頷いて見せた。
「アヤが開放できるのは属性系8つのルート。そしてマユが開放できるのは残る陰陽系8つのルートだ。」
「私が? なんで?」
アヤは全然理解できず目を丸くする。
「アヤ、自分の目が特殊だとは知ってるな?」
リョウの問いにアヤは当たり前だと言わんばかりに頷く。
「それは、いわゆる魔道師の素質があるということだ。」
「私が!?」
さっきから同じ言葉しか繰り返さないアヤ。
「そしてマユは耳が特殊だ。どこにいても遠くにいる人の声が好きに聞ける。」
「な、なあ、マユって俺の嫁候補の?」
テルが少し恥ずかしそうにそう呟いた。
「ファリスの予定だとそういうことになるな。」
リョウが苦笑いをしながら答える。
リョウの中ではテルとは偽テラス・ファリスの実の子供だと思っていたため、少し混乱しているようだ。
「だから、マユを助けださなきゃならない。」
「待って? なんで私は捕まらなかったの? 16個全部開放するには私も必要なんじゃ?」
アヤの問いにリョウは少し微笑みながらこう話した。
「アヤ、今まで誰かに目のこと話したか?」
「えっ、ここにいる3人だけだけど……」
「それが捕まらなかった理由だよ。」
リョウはそう言って安心させるように微笑んだ。