「この後、国王と妃を殺したファリスは俺の元へ戻ってきた。そして、俺は妃殺しの反逆者の罪を被せられ、牢獄へぶち込まれた。まぁなんとか逃げ出せたがな……」
そう歩いているうちにテルたちは20年前、リョウやテラスが逃げてきた山道に辿り着き、再びフォレスタの中へ入っていった。
「テラスは生きてる。」
テルがそう言いだしたのでリョウは慌ててテルのほうへ向いた。
「父さんは生きてる……」
テルの父さんの言葉がリョウに響く。
「本当か!?」
リョウの心の中ではテルの中にテラスの存在を垣間見ていたが、テルのこの言葉によってそれが確信に変わる。
「君はやはり、テラス国王の……」
「息子だ。」
テルはそう呟くと一人先に歩き出した。
「そうか……国王は生きていたのか……今どこに?」
「知らない。」
テルは立ち止まり、背中越しにそう答える。
「2年前にどっかいったよ……」
テルの言葉は少し寂しそうであった。
「そうか……」
それを察し、リョウはそれ以上聞くことをやめた。
「でも、何で10年前俺を置いてったんだよ……」
「ファリスがヴェリタの世界にやってきたからだ。魔力を感じたんだ。うっすらとな、そしたら止まらなかった。……悪い。」
ショウは未だリョウと目線を合わせず歩く。
「私を置いていったのは?」
「ファリスがヴェリタとソグノを支配しようとしていることに気がついたからだ。」
「……でも。」
「奴は、地の神殿からノームのルートを盗み出した。」
その一言にアヤとショウがはっとなった。
何故サンドドラゴンがエミスフェロ都市を襲ったのか。
それが今理解できたのだ。
ドラゴンとは各地にある16の神殿、つまり火・水・風・地・雷・氷・木・金と光・闇・日・月・聖・魔・命・死の神殿に隠されているオリジン・ルートを守る守護獣なのである。
地の神殿に隠されているノームのルートを守っているはずのサンドドラゴンが何故エミスフェロ都市に現れたのか。
それは守るべきルートが盗られ、行き場を失ったサンドドラゴンが2年もの時を経て、エミスフェロ都市に到達したわけである。
急に顔が曇った3人を見て、リョウが不思議に思ったため、アヤがエミスフェロ都市に起こった事件を説明する。
そしてそのままの流れでテルがここに来るに至った理由もテルが話した。