3人が兵士たちの追撃から逃げるように広間へと飛び出す。
しかし、テルが突然足を止め、後ろを走っていたアヤが止まりきれずテルにぶつかる。
「ちょっと!」
アヤが頭をさすりながら顔をあげるとそこには大量の兵士が剣を手にして、広間からの出口を全て塞いでいた。
もちろん出口へと繋がる階段も塞がれている。
「くそっ、囲まれたか……」
3人が来た道も追ってきた兵士が塞ぎ、完全に逃げ場を失ってしまった。
「半端な状況じゃねぇぞ……」
テルがそう呟きながら銃を上げるが、撃っても鎧や盾に阻まれ、もはや勝ち目はないだろう…
「あと少しなのに……」
階段を上りさえすれば外へ出ることが出来る。
「いや、これも作戦のうちってことか……」
ショウがそう毒づくと階段と体格に位置する道から先ほどここへ現れた白衣の男が姿を現した。
「ククク……大剣の男一人と聞いて予想した男とは違うし、数も増えてるってか?」
男は不気味に笑いながら、3人を順に眺める。
「おやおや、違うけれども似てるねえ、リョウ隊長に……ってか?」
白衣の男がショウのほうを見ながらそう呟いた。
「リョウ……隊長?」
アヤは隊長という言葉に違和感を覚える。
「んんん? それに君は、テル……テル様ではないのってか?」
テルを見てそう呟く男。
「ククク、城を抜け出し、ここまで来るとは……さすがはテラス様の息子ってか?」
白衣の男はまるで馬鹿にするように喋り、笑う。
「ククク、まぁいい…捕らえてまた城につれてって、教訓をってか?」
白衣がそう言って笑うと、兵士の悲鳴が響き渡った。
「何かあったのかってか?」
白衣の男が嫌そうな顔をしながら悲鳴の聞こえた右手の方を見る。
すると兵士たちが飛ばされ、広間に転がっていた。
そしてその奥から、颯爽と大剣を握りしめた男が飛び出してくる。
その姿を見て、アヤとショウ……そして白衣の男の表情が固まった。
「嘘でしょ!?」
アヤがそう言って男のほうを凝視する。
男の髪は金髪で、ショウより長く、さらに顎や鼻下には金色の髭が姿を覗かせる。
そして握りしめる大剣は蒼く輝くも、ショウのものよりも年期が入っていることを知らしめる。
「親父……」