「あっちへ行ったらしいぞ。」

「取り逃がしたらスチエナ様から何されるか……」

兵士たちがそう泣き言を言いながら走っていった。

それを隠れてやり過ごす3人。

兵士が行ったのを確認すると3人は奥へ進んでいく。

「心臓に悪いわ。」

アヤがそう呟くとテルが険しい表情をしてしーっのジェスチャーをする。

するとアヤは負けじと歯を見せ、いーっとやっていた。

「部屋がある……入るぞ。」

そう言ってショウが部屋のドアを開けようとする。

テルとアヤは各々の武器を握りしめ、辺りを警戒する。

ショウがドアを開けると、中もすでにあらされた後であった。

床には兵士が転がり、なにやら水浸しになっていた。

「うわっ。」

アヤが思わず叫んでしまったのは壁一面のガラス張りの水槽の中に色々な線をつけられ眠るクイールが大量にいたからだ。

その水槽の手前にはなにやら複雑なコントロールパネルやコンピュータが配置されている。

アヤが見つめる反対側の水槽のガラスは破壊され、そこから謎の液体が漏れ、床一面を覆っていたのだ。

そちら側のクイールは水槽のそこに眠っているのか死んでいるのかははっきりしないが寝そべっていた。

「これは……」

テルはあまりにも不思議な光景に驚いて呆然としていた。

「クイールについて何か研究しているみたいだな…巨大な狼もそのせいか…?」

そこにいるクイールは体が黒く、フォレスタで見た怪鳥・フォレバードの巨大バージョンやアヤの脳裏に出てきた黒い巨人もいた。

「こいつらが……町を?」

アヤは拳を握りしめ、倒れる兵士たちを睨んでいた。

「あまり長居するのも禁物だ。出ようか……」

ショウがそう言ったので3人は再び武器を握りしめ、部屋を外に出た。

すると突然警報が鳴り、赤いランプが廊下に灯される。

「何? 見つかった!?」

アヤが少し慌てて、そう叫ぶ。

「くそっ……厄介なことになってきたな。」

3人は急いで元来た道を走って戻っていく。

「やつらが来たぞ!?!」

3人が走る背後には集まってきた兵士たちが剣を持って追いかけてくる。

「くそっ、波動の斬!!」

ショウは振り向き、大剣を振ると兵士の何人かを蹴散らし、再び走るテルとアヤを追って走り出す。

「見えたぞ! あの広間を抜ければ階段だ!」