「外か。」

洞窟を抜け、テルたちは再び太陽の下に現れた。

日は昇り、ちょうど正午くらいであった。

「今、どの辺だろう。」

そう言ってテルが地図を広げ、アヤとショウが覗きこむ。

自分たちの位置を示す赤い点は、テルの母親に教えてもらったホールの場所から北に数メートルの地点であった。

「えっ? この下……?」

そう言ってアヤが目の前にある崖から下を覗きこむ。

「そうみたいだな。」

崖から下は木が生い茂り、下がどうなっているのかは見えない。

「行くしかない……」

テルがそう呟いて下を覗きこむ。

「じょ、冗談でしょ?」

アヤがありえないといった顔をして首を横に振る。

「でも、行かなきゃ。それにアヤの記憶だって繋がるかもしれない。」

テルの言葉にアヤは言い返せなくなり、ただ泣きそうな顔をして下を覗きこんでいた。

「でも、どうやって降りるかだな。」

ショウはそう呟き、再び下を覗きこむ。

「一か八か、飛び降りる?」

テルの発言に対してアヤの拳がテルの後頭部を襲い、テルは前のめりに倒れそうになる。

「うおっ!」

テルが落ちそうになるのにアヤが気がつき慌ててテルを引き寄せる。

すると勢いあまり、アヤは転びその上にテルが覆いかぶさった。

「いった……」

アヤがそう言いながら背中を押さえる。

「いってぇ……」

対してテルはアヤに殴られた後頭部が痛いのか頭をさすりながら目を開けた。

「……って!!」

アヤはテルに乗りかかられていることに気がつきテルを振り払おうとする。

「おいおい! 落ち着けって! また落ちるって!!」

テルがそう叫ぶとアヤはかろうじてテルから手を離さず、テルは座った状態を維持していた。

「……もう!」

アヤはそう言ってテルを山のほうに投げると顔を真っ赤にしながら立ち上がり、服の砂埃を掃った。

「ったく。」

そうため息をつくショウはどこか笑っていた。

そして投げ飛ばされたテルのポケットから赤く輝くルートが飛び出した。

それは先日母親から貰ったテラスのルートである。

するとルートが突如輝きを増し、光を放ち始める。

「な、なんだ!?」

テルが慌てて落ちたルートを手にすると同時に崖の下に吸い込まれるように風が起きる。

「ちょっと! 何!?」

アヤは慌ててスカートを押さえ、身をかがめるも勢いに負けて、ついには吹き飛ばされ、崖の下へと吸い込まれていく。

「アヤ!!」

そう叫び、テルは崖から飛び、アヤの後を追う。

「ちっ……」

続いてショウも跳び、崖の下へと吸い込まれていく。



そして3人はまたしても闇に包まれた。