3人は朝ごはんを終えると、テントをたたんで、それぞれのバッグを背負い、ノルドベストを登るべく洞窟へと向かった。

洞窟の中では風が吹き通り、ひんやりと冷たく肌を刺激する。

「さむ……」

アヤがそう呟きながら、両腕をさする。

「この山の反対側は雪原だからな。その風が洞窟にも流れ込んできてる。」

ショウがそう喋る間にも風が吹き抜ける。

洞窟をしばらく歩いていくと二手に分かれる道が現れた。

「左に行くと、雪原。右に行けばホールに近づくほうだな。」

ショウがそう言う道には「クイール注意」の看板が廃れながらも立て付けられている。

「じゃあ、こっちだな。」

3人はホールを目指すために右側の道を進んでいった。

「おっと早速現れたぞ。」

大量の巨大な蝙蝠が3人に襲い掛かる。

テルは銃を取り出し、連射した。

しかし数で勝る蝙蝠はどんどん近寄ってくる。

「うおっ!!」

そう言ってテルがかがむと、その脇でショウが大剣を構えた。

「波動の斬…」

ショウが大剣を振り、蝙蝠たちをぶっ飛ばしていく。

「ウィンドボール!!」

アヤが風を巻き起こし、ついに蝙蝠たちを打ち払った。

「まだまだこれからだぜ、テル。洞窟に逃げ場はない。それを良く考えるんだ。」

ショウの言葉にテルは口を尖らせながら立ち上がった。

「んなこと言ったってよぉ……」

テルは自分の銃を眺めながらそう呟いた。

「何? 文句あるなら返してよ!」

そう言ってアヤが取ろうとするとテルは軽くひょいと交わして腰に戻す。

「むかっ!」

そう言いながらアヤが蹴りかかるのも、軽やかにジャンプで避けた。

「………」

アヤはテルを睨むと容赦なく顔面パンチを食らわした。

「いっでぇ! 理不尽すぎるだろ!!」

そう叫びながらアヤの腕を掴み、お返しにとアヤのわき腹をくすぐった。

「ちょっ……やめ……て……」

急に弱くなったアヤにびっくりしてテルが腕を離す。

「……このセクハラ野郎!!!」

アヤはテルを睨むとテルの隙をついて思いっきり蹴っ飛ばした。

「づぅお…」

テルは腹を押さえてうずくまる。

「もう! 最低!!」

アヤはそう叫び、もう一発テルに蹴りを入れてさっさと洞窟の奥へと歩いていった。

「1歩前進……かな?」

そう言って笑うとショウはアヤを追って歩いていく。

「1歩……前進?」

訳の分からぬままテルも二人を追って走った。