「これが俺たちのいる場所か。」

ショウの言葉に頷きながら、テルは地図を覗きこむ。

「じゃあ、目指す場所はここだな。」

テルが指差したのは、母親が言っていた神隠し島へのホールがある山である。

「案外近い場所に来たね。」

アヤの言うとおり、そのホールは今いる場所から北に数キロであった。

「なら、もう日も落ちかけてる。夜になる前にこの森を抜け、山のふもとで寝る場所を確保しよう。」

ショウの提案に二人は賛成し、森を抜けるべく北へと急いだ。

「うおっ、また出たよ!!」

そこにはまたしてもフォレ・ウルフが立ちはだかる。

「なに、怖気づいてんのよ!」

アヤがテルの頭を軽く殴る。

「いってぇ!!」

テルがそう叫び、頭を押さえると同時にフォレ・ウルフがテルに飛び掛った。

「くっそ……」

テルは銃を取り出すとすぐに発砲し、難を逃れた。

「容赦なさ過ぎだろ!!」

テルがそう怒ってアヤの腕を掴むと、アヤは驚いて固まる。

一テンポ置いて、テルの手を掃い、アヤはもう一度蹴りを入れるとさっさと北へと歩いていった。

「理不尽……」

テルは蹴られた脛を押さえながらそう呟いた。

そんな流れを見ていたショウは笑いを堪えながらアヤの後を追って歩いていく。

しばらく歩いていくと3人は森を抜け、山のふもとへと辿り着いた。

「この山の中腹あたりにホールがあるんだな…」

山を見上げながらそう呟くショウ。

日本の山と違い、急勾配である。

「この山の名前は、ノルドベスト。登るにはこの洞窟を通っていかなきゃならない。」

3人の前にある山に空いた巨大な洞窟。

そこを通って山を登るのだ。

「とりあえず、この辺で今日は野宿するか…」

「野宿か……」

アヤはそう呟いて少し悲しい顔をした。

「野宿とか初めてだな……」

テルがそう呟く。

一方、二人を放っておいて手馴れた感じで準備をしていくショウ。

ショウが腰につけていたカバンから折りたたまれたテントと小道具が姿を現す。

無駄のないように折りたたまれたテントをその場に広げるショウ。

「ん? そういえば食べ物がないな……」

ショウはそれを思い出し、手を止めた。

「テル、アヤ。」

ショウは二人のほうを向いて立ち上がる。

「俺は食べられるものを探してくる。二人でテントの準備をしておいてくれないか?」

ショウがそう言って小道具をテルに渡す。

「お、おう。」

テルがそう返事をするとショウは大剣と地図だけを持ち、森の中へと入っていった。