黒い闇の中から、外の世界へ投げ出される3人。
勢いよく飛び出てきたため、勢いをころせずに3人は砂の上を転がる。
3人の後ろから先ほどまで乗っていた船の残骸が続けて飛んでくる。
「くっ……!!」
ショウは大剣を地面に差すと、それを支えに姿勢を保つ。
その横ではアヤと照が地面を転がっていた。
船の残骸が砂の上に落ちたため、あたり一面が砂埃で覆われる。
「ここは!?」
照は足で踏ん張り、なんとか勢いをころした。
そこへアヤがつっこんで照は後ろへ弾き飛ばされる。
「ぐはっ!」
「いったあー……勢い良すぎでしょ……」
そのおかげで止まったアヤが地面に寝転がりながらそう呟く。
後ろでは照が倒れていた。
「ここが……『ヴェリタ』か……」
砂埃が晴れて、見えてきた景色を懐かしそうに見つめるショウ。
「学校の校庭か!?」
照が起き上がり、そう叫んだ。
時間は夜のようで人の姿は見えない。
「何ここ?」
アヤは起き上がり、自分の服についた砂を叩き落とす。
「俺の通ってる学校だ。しかし、ショウのそれまずいよな。」
照はそう言ってショウの握る大剣を呼び差す。
「ああ、こんな武器持ってたら捕まるな。」
ショウはそう答えて少し笑った。
「武器持ってると捕まるの?」
アヤの問いに二人して頷く照とショウ。
「ふーん、道理で照が最初丸腰だったわけね。」
「で、とりあえずここに逃げたのはいいが、どうする?」
「俺の家に行こう。母さんならきっと何か知ってるはずだ。それにここから近いし。」
照はそう言うと、校門の方へと歩き始めた。
校門が閉まっている場所に、立ち入り禁止のテープが張られていた。
「事件になってるのか……」
照の言うとおり、『ヴェリタ』の時間にして昨日の昼に起きた警官の殺害と照の消失が原因で、学校はしばらく休校となり、昼間は警察による捜査が行われていた。
門を乗り越えて、外に出る3人。
元々都会ではない場所にあるせいか高校の外も人がおらず、とても静かであった。
3人は人目を気にしながら、照の家へと向かう。
「ここが、俺の家だ。」
照はそう呟いて、ごく普通の一軒家の前に止まる。
そして、ゆっくりと門を開き、中へと入っていく。
持っていた鍵を使って扉を開けると照たちは家の中へと入った。
「母さん?」
照は大きめな声で玄関から中へ叫んだ。
しばらくして照がもう一度叫ぶと、二階から降りてくる足音が聞こえ、廊下の明かりがついた。
「照?」
「母さん……」
それはまぎれもない、照の母親であった。
しかし、母親はその後、迷わずにある言葉を発した。
「ソグノの存在を知ったのね……」