ついに城を脱出し、城下町へと潜り込んだ3人。
城の入り口ではショウにやられた兵士二人が倒れていた。
「ここから西だったな……」
地図を確認してテルが呟く。
そして3人は休む暇もなく走り出した。
「船に乗ってどこに逃げるつもりだ?」
「わからねえ……この世界はよく分からないから。」
ショウの質問にテルがそう答える。
「なら、俺に考えがある。テルが作ったホールが海のどこかにあるはずだ。」
ショウはそう言って説明を始めた。
「そのホールを使って、テルがいた世界『ヴェリタ』にいこう。」
「ねえ! その『ヴェリタ』って何!? 私にはよくわかんないんだけど。」
「おそらく、テルがいた世界で……俺が生まれた世界だ。」
ショウの発言にアヤとテルの表情が固まる。
「ショウも?」
テルの疑問にショウは迷うことなく頷いた。
「もう訳分かんない!!」
アヤがそう叫び、走るのをやめた。
少し遅れて、テルとショウが立ち止まる。
「他の世界があって、二人ともその世界の人なの!?」
アヤがそう叫びながら問うとショウはすぐに頷き、テルは苦笑いをしながらゆっくりと頷いた。
「説明しても分からない。アヤも、その目で見るといいよ……」
ショウはそう呟いて再び走り出した。
それでも動かず困っているアヤに近寄るテル。
「ここにいたってまた捕まるぞ、行こう。」
テルはそう言うとアヤの腕を掴み、走り出す。
アヤは何も言わず、ひっぱられるがままに走り出した。
(ずるい……私には故郷もなくなって、帰る場所もない……あんたたちについて行くしかないじゃん……)
アヤは溢れそうになる涙を堪えながら走る。
しばらく走ったところでアヤはテルの手を掃う。
テルが驚いて振り返るとアヤは顔を俯かせながら何かを呟いた。
「……ありがとう。」
その一言でアヤの気持ちはテルに伝わり、テルは少し微笑むとショウを追って走る。
アヤの心の中でずるいという負の感情が生まれる反面、この二人がいなかったら今、自分が生きていないんだということを再確認して漏れた感情であろう。
そうして3人が走っているとついに船着場へとついた。
そしてそこにある船に乗り込むとレグノ王国から海へと出た。
「だけど、俺が作ったホールがどこにあるのか分かるのか?」
「ああ、テルは最初ファントムドームからここに来たはずだ。だからここから南下していけばきっとあるはずだ。」