エミスフェロ都市を出て、広大な砂漠を南下する3人。

「ここから南にいくと港町ボルトがある。」

ショウがそう二人に説明する。

アヤはまだ機嫌が悪いのかただ無言で歩いていた。

「ルートディガーって?」

テルが恐る恐るショウに聞く。

「ん? あぁ、俺は『ルート』を探して旅をしている。ルートの発掘人だからルートディガー。」

ショウが得意げに説明する。

「ルートって何?」

「ルートってのは特別な鉱石みたいなもんだな。」

ショウがそう説明するとテルは半分ほどしか理解していないがとりあえず頷いた。

「ルートは魔力が詰まった鉱石よ。」

アヤが突然話し始め、二人が驚いてアヤのほうを見る。

「な、何よ?」

アヤは少し照れながら、早歩きで前に出た。

「え、あ、魔力が詰まった鉱石?」

「ああ、その中で格別に力を持っているルートがある。それを俺たちは『オリジン・ルート』と呼んでいる。」

「オリジン・ルートっていうのは、昔の偉大な魔導師の力が詰まったルートよ。世界に16個ある。」

「魔導師?」

テルがはー?といった顔でアヤを見つめる。

「そこも覚えてないの? ……ってか覚えてないにしては変よ。」

アヤが疑いの眼差しでテルを見る。

「とりあえず……それを探すんだな?」

テルが慌てて話を逸らすと、アヤは一度考えるような顔をして視線を戻した。

ショウ「火・水・風・地・金・氷・雷・木の8つの属性系に加えて、日・月・光・闇・聖・魔・命・死の8つの陰陽系の全16個だ。俺が探してるのはオリジン・ルートじゃなくてそれ以外のルートだな。」

「ちなみに私のこの『魔槍』にもルートは付いてる。」

アヤはそう言ってテルに槍に付いている不思議な石を見せた。

「へー。」

「まぁこれは『コピー・ルート』だけどね。」

「コピー?」

「オリジン以外のルートをさすんだよ。」

テルは理解し、頷く。

「やっぱり、あんた記憶喪失じゃないでしょ?」

アヤはテルの前に回り込み、覗くようにしてテルを睨む。

「うぇ……え、えっと……」

「忘れたにしては基本を忘れすぎだわ。その割にはトバクでは何も不思議がらなかった。気にしてたのは場所だけ……」

アヤの睨みがテルの焦りを加速させる。

するとテルをある意味で助けるようなタイミングで巨大なクイールが砂漠の中から姿を現した。

それに反応するように、テルは拳銃を、アヤは魔槍を、ショウは大剣を握った。