「この声は…?」

「サンドドラゴンだ。」

サンドドラゴンは火を吐いて町を燃やし、砂嵐をも巻き起こして町を崩壊させ、そして4つの巨大な足で建物を潰していく。

テルたちの視界にもサンドドラゴンの翼が入ってきた。

サンドドラゴンの大きさはエミスフェロ都市にも負けじとでかく、もはや人間では敵いそうにない。

「でかい……」

二人がサンドドラゴンには勝てないといった理由がよく分かる。

サンドドラゴンの爪と自分たちの大きさが同じであろう程大きいからだ。

「もう無理だ、俺は町を出る。じゃあな……」

そう言い残して、ショウは立ち去っていく。

アヤは涙を堪えながらサンドドラゴンを睨んでいた。

「お、おい!」

去り行くショウの後姿を見つめながらテルが叫ぶ。

「どうすんだよ、おい!」

テルがそう言ってアヤの肩に手を置くがアヤはただサンドドラゴンを睨んでいるだけであった。

それを見かねたテルはアヤの腕を掴み、引っ張り立ち上がらせた。

アヤがビックリしてテルを見るが、テルは何も言わずに走っていくだけであった。

「ちょっと! 何よ!!」

アヤがそう叫んでテルの手を振りほどこうとするがテルは離さずに駆けていく。

「離してよ!!」

「離さねぇよ!!!」

アヤの叫び声にかぶせるようにテルが怒鳴る。

「生きるんだ。」

テルはそう言って迷いなく町の外へと向かっていく。

「外はクイールがたくさんいる、行ったって死ぬだけよ!!!」

「違う! 生きるために町を出るんだ!!!」

テルのまっすぐな声と瞳がアヤを黙らせる。

「このままサンドドラゴンと戦うのと外へ出る、どっちが生き残れる?」

テルの質問にアヤはもはや無言で睨み返すことしか出来なくなった。

「言うねー、君ならそう言うと思った。」

テルを待っていたかのようにショウが町の出口で立っていた。

「隣町まで案内する。生きるぞ!」

アヤは未だ納得いかない感じではあったが、それでも皆は覚悟を決め、崩れゆくエミスフェロ都市を後にした。