アヤとテルはとりあえず町を散策してみるも、行くところ行くところ『ワーム』ばかりであった。

「おかしい……」

アヤは槍でワームを倒しながら呟く。

「何が?」

テルはアヤのサポートに回っていた。

「多すぎるの。砂漠にもここまでは多くないわ。」

アヤは少し息を荒げながらテルの質問に答えた。

そんなアヤの背後からワームが襲い掛かる。

「確かに大量発生にも程があるな…」

ショウがアヤの背後に跳んだワームを叩き斬りながらそう呟いた。

「よう、また会ったな少年。」

それはカジノの前でテルを助けた金髪の青年であった。

テルはショウに対して頭を下げる。

「ここはもうダメだ。ワームだけじゃなく『サンドドラゴン』が紛れ込んでやがる。さっきの大地震もサンドドラゴンのせいのようだ。」

サンドドラゴンの名にアヤの顔が青ざめる。

「サンドドラゴン?」

ショウがどうしたの?といった感じでテルを見つめる。

「あの……記憶が飛んでしまって。」

テルがそう呟くと、ショウは一瞬固まっていたが、状況が分かったのか頷いた。

「サンドドラゴン、地のルートを守るドラゴンだ。かなりの力を持っている。うーん、そうだなワームの10000倍は強いかな。」

ショウがそう言うとテルは恐怖を感じ、頬から汗を垂らした。

「サンドドラゴンは倒せないわ。」

アヤは槍を見つめながら寂しそうにそう呟いた。

「あぁ、俺にも絶対無理だろうな。」

ショウは大剣を背中にさすとそう呟いた。

「ど、どうすんだ?」

テルの質問に二人は無言で深刻そうな顔をする。

「この町はもう諦めるしかない……か。」

「死ぬってことか!?」

テルの質問にアヤとショウは何も答えずに目を逸らした。

「俺は生きる……この町を飛び出してな。」

ショウはそう呟いた。

「町を出ればいいのか!」

「無茶言わないで! 外はクイールだらけよ!!」

アヤはテルに向け八つ当たりするように怒鳴った。

「俺は流離い者のルートディガーだ。外で生きる力は持っている。」

ショウは怒るアヤのほうを見てそう言った。

「……だからって私には無理……」

アヤは悔しそうに槍を握りしめ、呟く。

「でもここにいたら、死ぬんだよな?」

テルの質問にショウは迷わず頷く。

「そんなの分かんないじゃない!!」

アヤがそうショウに怒鳴りかかるが、ショウは冷静にアヤを見つめていた。

「そう思いたいのは分かるが、サンドドラゴンを止められるやつはこの町にはいない。ここに残るのならサンドドラゴンの機嫌が良くなることを祈るくらいしかないな。」

ショウの言葉にアヤは涙を浮かべ、その場で膝をついた。

「わかんねぇじゃねぇかよ! やってみなきゃ!!」

「あんたには無理よ……絶対にね。」

アヤは涙ながらもはっきりとそう呟いた。



エミスフェロ都市は大きな半球の形をしている。

テルたちがいるのが南側だが、もう北側ではサンドドラゴンの侵略が続いていた。

そしてついにサンドドラゴンは半球の頂上へと辿り着く。

サンドドラゴンの大きな咆哮がエミスフェロ都市に響き渡った。