「アヤ!」

テルが慌ててアヤに駆け寄る。

アヤは右腕を押さえ、痛みに涙を浮かべていた。

「……だ、大丈夫……」

アヤはそう言って腕を押さえながら立ち上がるもダメージはひどいようであった。

そこに容赦なくマチナ12の鉄槌が振り下ろされる。

それをかろうじてテルが銃弾で弾くも、すぐに他方の腕が襲い掛かる。

「サンダーボール……」

アヤが痛みに顔を引きつらせながら槍を構え雷の塊を飛ばした。

それがマチナ12に当たると動きが鈍り、しばらくの間固まる。

「勝機!」

そう言ってテルはブレイク弾をマチナ12の核目がけて放つ。

銃弾は突き刺さり、マチナ12から悲痛な音が聞こえた。

「当たった?」

アヤはそう呟くと力が抜けたように膝をつき、そのまま倒れた。

「アヤ!」

テルは慌ててアヤを抱える。

しかしアヤは少し息を荒げながら目を瞑るだけで何の返答もしない。

その間に自由を取り戻したマチナ12がテルたちのほうに向き直った。

「マジかよ……」

テルは慌ててアヤを抱えたまま、逃げるように迷路を走る。

(強い……強すぎる……)

テルをじわじわと追い詰めていくマチナ12は腕を振り上げる。

「くそが!」

テルは横へ跳び、鉄槌を何とか避ける。

テルはアヤを抱きかかえたまま床を転がった。

「んの野郎!!」

転がりながらもテルは片手をマチナ12のほうへ伸ばし、銃弾を放つ。

ブレイク弾は腕に刺さるも大したダメージを与えられない。

そのままテルが銃を乱射するが効かず、もう一度マチナ12の腕が振り上げられる。

「くっ……」

テルは銃を持ち替え、新たな銃弾を放った。

すると銃弾が大きく爆発し、マチナ12の体勢が崩れて後ろに倒れる。

しかし反動は強く、テルも後ろへと倒れてしまう。

「……うっ?」

アヤも勢いで転がるが、それで意識を取り戻したのか槍を握る手に力が入る。

「……サンダーボール……」

アヤは残る力を振り絞って魔法を唱えた。

雷の塊がマチナ12に追い討ちをかけて、さらに動きを鈍らせる。

「アヤ?」

しかし魔法を唱えたアヤは力が抜け、悲痛な表情をする。

「倒して……テル……」

アヤがそう呟いたのを聞き、テルがすぐに銃を構える。

体勢が崩れ、あらわとなったマチナ12の核めがけ、テルは二発のブレイク弾を放つ。

その銃弾は見事核に突き刺さり、マチナ12は大きな悲鳴を上げるとゆっくりと倒れ、完全に機能停止となった。