「何で笑うの!?」

アヤはイライラした表情でテルの顔をつつく。

「いやー、このタイミングで不細工とか言うかーって思ったから。」

テルは笑いを堪えながらそう答えた。

「なっ……だって不細工じゃん!」

「ショウが言ってた意味がなんとなく分かったよ。」

テルは目を開けてそう呟いた。

「な……何が!?」

「アヤが正直じゃないって。」

そうテルが言ったとたんテルの顔にアヤの鉄槌が落ちる。

「訳分かんない!!!」

テルは顔を押さえているも笑いをこぼしていた。

「そういうとこが……」

そう言ってテルは起き上がる。

「なんかむかつく……」

アヤはテルを睨むも殴ることなくそう呟いた。

テルは微笑むと立ち上がり、アヤに手を差し出す。

「ほら、元気になったろ? 行くぞ。」

テルに言われるがまま、アヤはテルの手を握り、ひっぱられるがまま立ち上がる。

しかし、勢い余ってアヤはテルの胸に飛び込んでしまった。

「おっと、悪ぃ……」

テルがそう言って離れようとするとアヤがテルの腕を握った。

「いいの……このままでいて……」

突然のアヤの行動にびっくりして固まるテル。

「……好き……」

しばらくしてアヤが小さく呟く。

「えっ?」

テルがビックリしてアヤの方を見るもアヤは何も言わずにテルの肩に顔をうずめる。

「今……なんて?」

テルがそう聞くとアヤはテルを思いっきり突き飛ばした。

「うえっ?」

テルはそのままの勢いで水の中へと落ちる。

しばらくして水面に顔を出すテル。

「おい! 何すんだよ!」

テルがそう叫ぶもアヤは何も答えずにテルのほうを見つめていた。

「……あんたが好きなのよ!」

涙を少し浮かべながら叫ぶアヤ。

「馬鹿で間抜けで……でもまっすぐでかっこよくて……そんなあんたが好きなの!」

アヤがそう叫ぶとテルは驚いた表情を見せアヤを見つめる。

「俺を……好き……?」

テルは突然のアヤの告白に思考が追いつかない。

「最初にあんたに会った時は、場違いでのろまな奴がいるなって思った。」

とりあえず水から上がりアヤの方へ歩くテル。

「でも、あんたに地震の時に助けられて、いろんな言葉に助けられて……」

アヤはテルの方を見ることなく寂しそうな表情をしてそう呟いていた。

「アヤ……」

テルもどうしていいか分からない表情でそう呟く。

「ごめん……行こ……」

アヤはそうとだけ呟いて歩き出した。

「お、おい……」

テルも複雑な表情をしながら後を追って歩き始めた。