「ん……」

アヤは意識を取り戻し、目を開ける。

そしてゆっくりと起き上がるとそこには上半身裸のテルがいた。

「へっ?」

アヤはわけが分からずに自分の服を確認するとびしょびしょになっていた。

「起きた……よかった。」

テルはアヤの方に向いてそう呟く。

「ちょっと! 何で裸なのよ!」

アヤが顔を赤くしながら反対を向く。

「えっ? あぁ濡れたからな。乾かそうと思って。」

テルの横には床に広げられた服が置いてあった。

「そ、そっか……」

アヤはそう言って自分の服を触る。

(はっ! もしかして透けてない!?)

そう思い自分の胸のほうを見るが服の色が黒中心であったのが幸いして透けてはいなかった。

少し安心して落ち着くアヤ。

「上着くらい乾かしたら?」

そんなアヤの気持ちもつゆ知らずアヤに話しかけるテル。

「えっ? あぁ……うん……」

オロオロしながらも上着を脱ぐアヤ。

上着を脱ぐだけでも何故か恥ずかしく思ってしまい、脱ぐのを戸惑うアヤ。

「エレベーターまで遠くなっちまったな。」

テルがそう話しかけるのも聞こえず、緊張しながらも上着を脱ぐアヤ。

脱ぎ終わるとテルが見かねてアヤの上着を取る。

「ちょっ! 何?」

アヤが変な声を出す間にテルはジャケットを広げ、床に置く。

アヤはなんとなく自分の胸を隠すような格好をしていた。

「何してんの?」

「うるさい……」

そう言って逆方向を見続けるアヤ。

するとテルはため息をつき、アヤの横に大の字で寝転がった。

それから逃げるように逆を向くアヤ。

「……どうする?」

「何が?」

アヤは決してテルの方を見ずに答える。

「今すぐエレベーター目指すか、もう少し休憩するか。」

「そんなすぐ動けるわけ無いじゃん……」

「だよな……もう少し休憩だな」

テルはそう言うと疲れたのか目を瞑る。

しばらく無言の状態が続くとアヤが気になりちらっと後ろを覗く。

すると目を瞑るテルの姿が目に入り、少し体の向きを変えるアヤ。

「寝ないでよ?」

「……寝てねぇよ。」

テルは目を瞑ったまま答える。

「不細工……」

「うるせぇ……」

テルはそう答えながらも少し笑ってしまう。

「何がおかしいのよ!」

アヤが叫ぶとテルはさらに笑い出した。