テルが再び体の自由を取り戻したとき、そこは水の中であった。
テルは抱きしめているアヤを確認するとすぐに水面へと上がる。
「はぁはぁ……」
テルは息を整えるがアヤは眠ったように動かない。
「アヤ?」
そう言って少し体を揺するもアヤからの反応は無かった。
テルはあたりを見渡し、上れる場所を発見する。
そこの位置的には今まで壁となっていた部分の上であった。
アヤを寝かせ、自分も水から上がるテル。
テル 「はぁ……生きてる……よな?」
テルはそう呟き、アヤの呼吸を確認する。
テル 「息はしてる……な。」
テルはアヤの無事を確認し、安堵の息を漏らす。
テルは立ち上がり、自分の周りを見渡した。
どうやらエレベーターとは逆方向に流されたようで、矢印の向きとは逆の方向にいた。
「ショウとマユは無事かな……」
そう呟いた後にショウがいるなら大丈夫だろうと自分自身で納得し、もう一度状況を確認する。
どうやら壁と思っていたものは立方体の一側面で上も足場になっているようであった。
「二段構造の迷路か…こんなの制覇できねぇだろ…」
テルはそう呟いてアヤの横に座り、とりあえずアヤが目を覚ますのを待った。
ショウの大剣がマチナを斬る。
先ほど倒しそびれたマチナ7と出会いとどめを刺したのだ。
「やっぱりショウさんは強いですね。王国にいた隊長たちとも引けを取りません。」
そう言ってマユは微笑む。
「王国軍隊長なんて堅苦しくてできねぇな。」
ショウはそう呟いて苦笑いすると再びエレベーターを目標に歩き出した。
「ショウさんは何を求めて旅をしているのですか?」
ショウが振り返るとマユは少し真面目な表情でショウを見つめていた。
「ショウさんが旅をしている理由は何ですか?」
マユの質問に何も答えずにただマユを見つめるショウ。
しかしマユが負けじとショウを見つめ続けるとショウは視線を逸らし、小さくため息を吐くと顔を上げた。
「何だろうな……真実を知る為……かな……」
ショウは苦笑いしながらそう答えた。
「真実を?」
マユがそう聞くもショウはそれ以上答えなかった。
マユもそれを理解して歩き出す。
「……ごめんな。」
並んで歩く横でショウは小さく呟いた。
それを聞き、ただ微笑むだけでマユも言葉は返さず並んで歩いていった。