「あっちのほうだな……」
そう呟くテルのお腹に強烈な一打が入る。
「うっ?」
テルがわけも分からず下を向くとアヤが怒った顔をしながらテルの腕をどかして逃げた、がしかしすぐに転んでしまう。
「もう! くっつきすぎ!」
顔を真っ赤にしたアヤが床に座り込みながらそう叫ぶ。
「だからって……」
よっぽど入ったのかテルはお腹を押さえて蹲ったまま動かない。
そんな二人のやりとりを壁越しに聞いていたマユとショウが苦笑いする。
「元気そうだな、行くか。」
「はい。」
そう言って二人はエレベーターを目指し、歩き始めた。
一方、お腹を押さえたテルはそのままの格好で動かない。
しばらくテルを見つめていたアヤは心配になり座った状態でなんとかテルの方へと近づいていく。
「だ……だいじょ……」
アヤがそう言いかけた途端テルがアヤの腕を掴んだ。
「捕まえた!」
テルがそう言ってアヤのわき腹をこしょこしょする。
「ちょ……やめ……て……」
「俺をいつも足蹴にする罰だ。」
そう言ってしばらくこしょばした後、テルは笑いながらアヤを離した。
しかしその数秒後にアヤのパンチがテルの顔面を襲った。
「最低!」
アヤはそう叫んで動こうとするも滑る床で思うように動けない。
「いってぇ……」
もはや呆れ気味に顔をさするテル。
しかし、今回ばかりは自業自得としか言えない。
「さっさと行くわよ!」
アヤがそう叫ぶと同時にテルがアヤを再び抱きしめるようにしてその場から跳んだ。
そのままの勢いで床を滑る二人。
「何すんのよ!」
そう叫ぶ横でテルがすぐに体勢を立て直して銃を抜くのを見てアヤは即座に状況を理解した。
テルたちが先ほどまでいた場所の真上には、なにやら飛ぶ機械がいたからだ。
「あれがマチナ12か!?」
テルがそう言って銃を発砲すると機械に当たり、いとも簡単にその機械は落下した。
その機械の背中には大きく「1」と書かれていた。
「違う…きっとマチナ1よ。」
それを見てアヤがそう呟いた。
一方、ショウとマユもマチナと戦っていた。
「はぁ、こんなのがいんのか厄介だな……」
壁のようにでかいマチナの肩には7と書かれていた。
この12階にいるマチナの種類は1、2、5、7、12の5種類である。
ちなみに一人で試練を受ける場合、ウノ申請はマチナ3、それから順に6、10、15、20となる。
つまりショウたちが出合ったマチナはレベル6と戦うドゥエ以上の強さというわけである。