「ちょ……何これ……」

アヤは滑る床に戸惑いながらもなんとかバランスを取り、そう呟く。

「アイスリンクみてーだな。」

対照的に軽やかに滑るテル。

「わわわわわ……」

制御不能になったマユをテルが先回りして受け止める。

「ありがとう……ございます。」

マユは何とか体勢を立て直しそう呟く。

「うわっ!!」

そう叫びついに転ぶアヤ。

「いったぁぁ…」

腰を摩りながら呟くアヤの前までテルが滑ってくる。

「ダメだなー、もっとこうやって滑らなきゃ。」

テルがそう言ってアヤの周りをくるくる滑る。

「ムカッ……」

そう言ってアヤはテルを捕まえようとするもテルは見事な滑りでそれを避ける。

「遊んでないで行くぞ?」

ショウも慣れているのか普通に滑っていく。

「あわわ、待ってください。」

マユが急いで滑ろうとしてまた制御不能になる。

それをショウが受け止めるとマユをエスコートしながら二人は滑っていった。

「うぅぅ……」

なんとか壁を使って立ち上がるも全然足がいうことを聞かずふらふらする。

テルはそれを見てしばらく笑っていたが、ショウたちと離れすぎるわけにもいかないのでテルはアヤに手を差し出した。

「何よ?」

アヤが驚いてそう聞く。

「早く、行くぞ。」

そう言ってテルはアヤの腕を掴んだ。

「ちょっと!」

アヤが抵抗するもむなしくテルは滑り出し、アヤは身をゆだねるしかなかった。

しかし、二人がショウとマユの場所に追いつく前に迷路は4人の邪魔をし始めた。

突如、テルたちとショウたちの間に壁が現れ、4人を分断する。

テルが急いでアヤを抱きしめ、すべる勢いのまま現れた壁に背を向けてぶつかる。

「テル! アヤ!」

後ろの異変に気がつき、ショウとマユも急停止するが次々と壁が位置を変え、作り出される新たな迷路に阻まれ、動けない。

「くそ……やられた。」

アヤを守るように抱きしめながらテルが呟く下でアヤは顔を真っ赤にして体をゆだねていた。

「大丈夫ですか?」

マユの叫び声が聞こえる。

「大丈夫!」

テルはそれに答え、辺りを見渡す。

新たにできた迷路は容易くショウたちの下へたどり着けそうにない構造となった。

「とりあえずエレベーターの前に戻ろう! そっちで合流だ!」

4人が上を見るとエレベーターの位置を示す矢印がぶら下がっていた。