「誰だ、てめぇ!?」

大剣を蹴らされた男は怒り、数歩下がると銃を懐から取り出し、その青年に向けた。

青年はやれやれといった顔をしながらため息をつく。

「俺の名はショウ。ルートディガーだ。」

青年がそう言って笑う。

ショウの金髪は町の明かりを反射し、テルにとって救世主でもあることからとても眩しく見えた。

「ふん、流離い者が首を突っ込むんじゃねぇよ……」

男に仲間がいたのか他にも二人がショウに銃を向ける。

「だから言ったろ? テメェみたいなのが嫌いって!!」

ショウが大剣を構えると同時に男3人が一斉に発砲するが、ショウは大剣でそれを防ぐとそのままテルを殴った男を斬る。

血しぶきがあがらないのを見るとみねうちなのだろうか。

「まだやるか?」

ショウがそう言って男を睨むと、怖じたのか二人は斬られた仲間を残して逃げていった。

それを見たショウは大剣を背に戻すと、テルのほうへ近寄る。

「大丈夫か?」

ショウが手を差し出し、テルはそれを掴むと立ち上がった。

「ありがとうございます。」

テルは腫れた頬をさすりながらそうお礼を述べた。

「良いって事よ。ここらへんは治安悪いから気をつけろよ!」

ショウはそう言って笑うとどこかに歩いていった。

「あー……いてー……」

頬をさするテルはふと違和感を感じた。

(ここっていったいどこなんだ!?)

テルの記憶で知るところではない。

町の構造も日本とはまるで違い、テレビで見たラスベガスとも違う。

(俺はまた夢を見ているのか?)

だが頬は痛みがひかない。

その時、テルの脳裏にある言葉がよぎった。



もうここはテル様の夢ではありません。



「俺の夢じゃない…?」

テルは答えの出ない謎に少しイライラする。

「ちょっと!」

そのイライラを増幅させたような怒りの声が背後から聞こえる。

テルがびっくりして振り返ると同世代くらいの少女がこちらを睨んでいた。

「そんなとろとろしてるから、絡まれんのよ。邪魔なんだけど。」

少女の髪は黒の短髪で少し癖毛なのか外跳ねをしている。

「あ……ごめん。」

そうテルが謝ると少女はありえないといった顔をする。

「そんなんだったらこんな場所にいない方がいいわよ。」

そう言って少女はテルを無視してカジノの中へ歩いていく。

「待ってくれ、ここはどこなんだ!?」

テルが慌てて少女の肩に手を置き呼び止めると、少女は立ち止まり肩に置かれたテルの手を掃って振り向く。

「迷子?」

少女は馬鹿にしたように笑うとまた歩き始めた。

「ちょっと待てって!」

テルは慌てて少女の後を追いかけた。