近頃私は思うんだが、歩の私への扱いが昔に比べると酷くなってきていないだろうか……?
お兄ちゃんは仕事の合間ですら歩のことをそれこそ毎日想い、日々汗水垂らして働いていると言うのに……。
ん?
羽丘に聞いたけど、昨日も仕事放棄して遊んでただけだろって……。
むっ、情報の横流しか?
さては、賄賂を貰ったな!歩!!
何を貰った?!
お兄ちゃんに全部吐きなさい!
って……ああ、そんな呆れ顔をするんじゃないよ。
折角の可愛い顔が台無しだからな!
って、いたたたた!
流石のお兄ちゃんも、包丁が刺さったら死ぬ!!
死ぬから!!ギブギブギブ!!
そんな危険なモノでグリグリしないでください、歩さん!
むっ!死ねとは何だね。
労りを込めて、清隆お兄ちゃんvと呼んで……。
すまない、冗談だ。
だから、微笑みながら包丁をこちらに向けて、さも今からブッ刺すぞ?みたいな目で私を見ないでくれ……。
お前にそんな風に見つめられると……ちょっとな?
おーい、お兄ちゃんは変態ではないよー……歩君?
何?十分、変態だから今更気にすんなって……少しはお兄ちゃんを労って柔らかい言葉を投げてはくれないか?
はい……はいはい、分かってます!
歩はお兄ちゃんが大好きだから、つい反抗して反対のことを言ってしまいたくなるんだな?
屈曲した愛情表現だが、私はちゃんと理解しているぞ?
だから、安心……グハッ?!
い、痛い!話の途中で容赦なく殴ることはないだろう!
お玉は殴る為にあるんじゃないんだぞ?
味噌汁を注ぐ為の道具だ!
そして、新婚さんが味噌汁をフリルのエプロンを着て作り、美味しく出来たか分からないけど……でも……っ///と、恥じらいつつお玉を胸元で持つ、三種の神器なんだ!!
ちなみに、残りの二つはフリルのエプロンと短パンだぞ、歩!!
そんなわけで、フリルのエプロンで毎朝朝食を作ってみないか?
きっと似合うぞー歩は可愛いから。
ん?
どうした?
肩をフルフルと震わせて寒いのか?
――ッ!!
悪かった悪かったから私が調子に乗り過ぎた!!
だから落ち着こう歩!!
ひっひっふー!!ひっひっふーだ!!
え……これは、ラマーズ法だと?
「く…っ、馬鹿兄貴に食わせる飯なんかない!アンタは朝飯抜きで十分だ!!さっさと仕事に行きやがれっ!クソ兄貴がーーッ!!」
END
或る朝の風景(笑)
結婚する前、中学生の時。