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うちの長兄がものごころつきはじめた、あるいは目に見えるもの以外について考えはじめたの時のことです。
わたしたち兄妹が通っていた幼稚園の遠足で、イチゴ狩りにいくことになりました。
幼稚園にしてはけっこう本格的なイベントで、幼稚園が私立だったこともありお金がかかっていました。
あさ早くに集合し、貸し切りバスで郊外のフルーツパークまでいくというなかなかの強行軍。
当然体力が持たずに体調を崩す子供もいて、わたしの兄はその一人でした
べつだんこういったイベントが好きなタイプでもなく、イチゴが好きなわけでもなかった兄は
さして途中で帰ることで悲しんだりもしなかったそうです
熱が出たのはそれなりに苦しかったようですが、彼は重度といっていい持病を抱えており
それが悪化した時の苦しみたるや、発熱の比ではなかったので割合気持ちに余裕がありました
母曰く、迎えがきて家に帰るときも周りが心配するのを妙に冷静にみていたとか
しかし家に到着し、三回の寝室に寝かされてから、兄は奇妙な感覚に襲われたというのです
見慣れているどころか、母とよく昼寝をする、幼児にとっていちばん安心できるといって
過言ではないはずのそこで
金縛りにあったわけではありません
おかしなモノを見てしまったわけではありません
何もないところから声がきこえたわけでもありません
一人になった時間を酷く長く体感したというわけでもありません
奇妙な『体験』をしたのではなく、まさに感じ取って,否『感じとらされて』
しまったとでもいいましょうか
323 :せっけん◇8012blabcmart:2012/08/19(日) 06:41:31.78 ID:QELjrV2F0
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本当に全てがいつも通りなのです――しかし兄は
『もう一生幸せになれないんじゃないだろうか』という漠然とした不安に
襲われたのです
怪談もきいたことがない幼子を、そんな気持ちにさせたのは一体なんだったというのでしょう
皆さんは『ハリー・ポッター』シリーズを読まれたことがおありでしょうか?
そのなかに『吸魂鬼(ディメンター)』という妖怪がでてきます
それはその名のとおり、人間の魂を吸い取ってしまう化け物で、具体的には
幸福な気持ちや思い出を吸い取ってしまうというものです
兄が初めて『吸魂鬼』のくだりを読んだとき、まっさきにこのときのことを思い出したそうです
ちなみにわたしや次兄はそんな体験をしたことはなく、その部屋でその後奇妙なこと
が起こったということもありません
しかし、あの瞬間、あの部屋にはなにかがいた、あるいはなにかがなかったのではないかとおもわれます
今はもう人に貸しているおうちですが、小学生の二人のお子さんがいる家庭です
彼らがそんな体験をしていないことを祈ります
お仕舞い
小学生の頃、祖父に連れられてよく釣りに行った。
祖父は別に釣りが趣味というわけではないのだが、
釣り好きな自分の我侭を叶える為、知り合い伝いに色々と
情報を仕入れては、毎度のごとく様々な所へ連れて行ってくれた。
ただ、自分が免許を取る頃にはその当時の記憶も曖昧になってしまい、
昔に行ったあの川や池、沢への道を教えてくれと頼んでも、
ほとんどの場所を忘れてしまい、今となっては再び行くことができないのが残念である。
ある夏の日、またどこかで話を仕入れてきた祖父に連れられ、釣りに行った。
そこは山奥ではあるのだが、渓流のように早く澄んだ流れの川ではなく、
水は緑がかり、流れはゆったりとし、幅は狭くも、深さのある川だった。
早速釣りを始めたわけだが、かなり魚影が濃く、ほぼ入れ食い状態だったと覚えている。
そのうち小さなハヤを釣るのに飽き、近くの藪でドバミミズを掘り出し、
大物狙いに仕掛けを変えた。
といっても、じっと待つことができず、そのうち水面までエサを持ち上げては、
小魚がミミズを突くのを見て楽しむという遊びに変わった。
幾度と無く場所を変えては、水面にミミズを落とし、魚がそれを突くのを見る。
そんな遊びをしている最中、いかにも大物が潜んでそうな深い淵を見つけた。
岩の上に陣取り、ミミズをたらす。
すると、川の淵からヌッと黒く大きな魚影が出てきたかと思うと、
バクッと水面で大きな水しぶきをたてた後、また川の深みへと潜っていった。
一瞬ではあったが、それを見て直ぐに釣りを止め、一目散に祖父の下へ走っていった。
その大きな魚影の話を聞いた祖父は雷魚だ雷魚!と騒いでいたが、そんな祖父に
とにかく早く帰ろうと喚いたのを覚えている。
祖父は面食らったようではあったが、そのまま直ぐに自分を連れて帰ってくれた。
あの細長く大きな魚影は今となってもなんだったのかはわからない。
ただ言えるの確実に雷魚ではないこと。そもそもあんなところにいない。
そして、釣りを止めた理由だが、あの魚は水面にいたミミズではなく…
水面に写った俺の顔に喰らいついてきたからである。「完」
うちには猫が二匹いる。
もともと野良なのだが、まだ子猫の頃に寒空の中うちの近所でにゃあにゃあと助けを呼ぶように鳴いているところを母親に拾われて家族の一員になった。
猫が家にきて半年ほど経ったころの話。
その日は夜中に目が覚めた。
もともと眠りが浅いのでいつものこと、いつものように何かを飲もうと台所へと向かった。
自室を出てリビングへ、すると足元に猫がいる。
電気をつけておらず、真っ暗な中でも妙にはっきりと見えるその猫はうちの猫ではなかった。
家はマンションの八階で見知らぬ猫が入ってこれるような場所ではない。
不思議に思っているとその猫は、俺の足にすり寄ってきた。
撫でてやろうと思い手を伸ばすと、こちらを見て笑顔で一声「にゃあ」とだけ鳴いて、その猫は消えた。
その顔を見てもしかすると、と思った。
笑った顔がうちの猫にすごく似ていた。
後日母親にその話をしてみた、やはり猫は最初三匹いたみたいだ。
実は母親は拾ってくる数日前から子猫の鳴き声が聞こえて気になり、探してはいたがなかなか見つけられなかった、そのときは三匹分の鳴き声が聞こえていたらしい。
そして拾ってきた日、ついに子猫を見つけれたが二匹しかいなかった。
聞き間違いか?とも思ったみたいだが、俺の話を聞いて納得したみたいだ。
「もう少し早く見つけられたらねぇ……。」と母親は遠くを見ながら寂しそうにつぶやいた。
それにしても一番猫の世話をできていない俺の元へなぜきたのか、それが一番不思議でならない。
家族で唯一かなり薄いながらも霊感があるからだろうか。
それ以降その猫には会っていないが、ありがとうを言いにきたのか、二匹をよろしくと言いにきたのか、どちらにしろその猫を思うと少し切なくなる。
終わり。