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2019/8/17|カテゴリー:神父の子シリーズ|comment:



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神父の子・死にたがる生霊

2011/8/28|カテゴリー:神父の子シリーズ|comment:0件

937 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/08(木) 16:29:00 ID:6d6EaP690
ある日のこと
教会に来る信者さんでホームヘルパーの仕事をしている田中さん(男・仮名)に一緒に行ってほしい家があると頼まれた。
老人の一人暮らしなのだがどうにも薄気味悪く、一人だと神経がまいってしまうらしい。
親父に一応相談すると「行ってあげなさい。」と言われたのでお礼のガストでステーキに釣られて手伝いに行った。
ご老人は80歳くらいのおじいさんで古い県営の住宅の4階に一人で暮らしていた。(表記は501号室)
田中さんの話ではもう県営マンションができた時からここで暮らしているらしい。
県営マンションのほとんどは空き家。正面に同じくらいの大きさのキレイなマンションが建っているとこを見ると
順番に取り壊して新しいのを建てる計画があるのだろうと、なにもしらない俺でも想像できた。

938 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/08(木) 16:30:40 ID:6d6EaP690
エレベーターで4階に移動して501号室にむかうと奥の部屋の半開きのドアがバタンと閉まった。
空き家だらけだと思っていたが割と人が住んでいるんだなと思ったが田中さんはそのドアの閉まった部屋の前で止まった。
そして書類ケースから鍵を取り出し、チャイムも鳴らさず鍵を開けて「おじいちゃーん」と元気良く部屋に入っていった。
部屋の中にはおじいさんが一人で寝ていた。
昼間なのにカーテンを閉め切って真っ暗な部屋の中は正直、汚物の匂いで充満していた。
田中さんは慣れた手つきで窓を全開にして換気扇を回すように僕に指示した。
「おじいちゃーん」と大きな声を出しながら布団を捲り上げると中から蠅数匹飛び出した。
おじいさんは「あうあう」と言った声を出して田中さんに応えている。 

940 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/08(木) 16:32:02 ID:6d6EaP690
田中さんはおじいさんの下の世話を手際よく片付けるとうまく寝返りさせてシーツをスルリ抜き出した。
まとめて大きなビニール袋に入れると「代えのパジャマとシーツを車に取りに行ってくるよ」と言って部屋を出て行った。
俺はおじいさんに話しかけることでこのなんとも言えないやりきれない思いをぬぐおうとおじいさんのそばに近づいて
「おじいちゃん! はじめまして!」と大きな声で話しかけた。
すると驚くことにおじいちゃんははっきりとした口調で 「殺してくれないか!」 と訴えてきた。
その声のトーンは「あうあう」と言っていたおじいさんの声ではなく50才くらいの立派な男の人の低くて太い声だった。
俺はびっくりしてしまってただ立ち尽くしていた。
すると田中さんが走って息を切らせて帰ってきた。汗びっしょりの田中さんに「どうしましたか?」と聞くと
「なんでもない。なんでもない。」と答えるだけだった。
その後は新しいシーツを敷きパジャマを着替えさせてご飯を食べさせて帰る事になった。
帰り際に体を拭くタオルや雑巾といった小物類を台所で洗ってベランダに干して帰った。
「さようなら!」と大きな声で挨拶すると、おじいさんは「あうあう」と答えた。


941 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/08(木) 16:34:05 ID:6d6EaP690
ガストでステーキをご馳走になりながら田中さんと話をした。
少し迷ったが田中さんが口を開くきっかけになればとおじいさんが「殺してくれないか」といったことを話してみた
すると堰を切ったように田中さんがあの部屋でいろんな不思議なことが起こると話始めた。
やはりキリストの教えを疑うようで俺に話していいか迷っていたらしい。 
ホントは親父に相談したかったがとりあえず俺に体験させることでワンクッション入れようと考えたようだ。
田中さんが見る現象でもっとも頻繁なのがおじいさんがマンションから飛び降りているところが見えることらしい。
マンションの外からおじいさんの部屋を見るとおじいさんが飛び降り自殺をしているのだ!
駆けつけると下に死体はなく、部屋に入るとおじいさんは寝ているらしい。
この現象は田中さんの前任者、その前の前任者、ホームヘルパーの主任さんとたくさんの人が見ているらしい。
そして目撃者はご近所にもわたり今やこの県営マンションがほとんど空き家状態。 近所でも噂になっているという。

942 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/08(木) 16:37:23 ID:6d6EaP690
教会に帰ってこの話を親父にすると「死にたがっている生霊というわけだな・・・」と答えた。
どうしたらいいと思う?と親父に尋ねてみた。
「どうしようもないだろう。願いを叶えてあげるわけにはいかないのだから」
俺はなんとも言えないせつなさと怖さを感じていた。
もしおじいさんが老衰で亡くなっても、生霊はホントの霊となって消えないのではないだろうか?
時間にプライドと羞恥心は破壊され、なにもできなくなってなおも孤独に生き続けることを
常識に強要されている悲しい人間のぶつける場所すらない怒りと怨みはどんな「負」を作り出していくのだろう・・・

そして今は高齢化社会。 我々の未来は「負」を避ける術を持たない。


神父の子・エンジェル様

2011/8/28|カテゴリー:神父の子シリーズ|comment:7件

630 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/07(水) 22:41:41 ID:a6IF0eir0
ある日のこと
教会の電話に面識のない中学生からの電話があったらしい。
どうやら複数人のグループで電話をかけてきたらしく電話を受けた親父も内容の把握に困惑していた。
内容を簡潔に言えばエンジェル様を怒らせてしまったので謝り方を教えてほしい。との事。
さすがの親父もエンジェル様を怒らせた。の意味がわからなかったが、俺がこっくりさんの別名だと説明すると
「なるほどなるほど」と電話全体の意味を理解したようで、次の日曜に説教もかねて子供達を教会に呼び出した。
多少の興味もあり日曜に俺も教会で待っていると、おどろいたことに先生と生徒4人の計5人でやってきた。
正直、この手の話に大人が噛んでくるとは思わなかったので逆に先生に親父が怒られるのかも?と心配したが
どうやらそうではないらしい。 話を聞くと先生もエンジェル様の被害者だというのだ。


631 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/07(水) 22:43:02 ID:a6IF0eir0
若い女性の先生と4人の女生徒。
神妙な面持ちの先生を後ろに女生徒の一人がエンジェル様を怒らせた理由を話し始めた。

放課後、教室でエンジェル様を4人でしていたところ教室の見回りをしていた先生にみつかった。
急いでエンジェル様にお帰り願って終了しようとしたがエンジェル様が思うように帰らない。
しびれを切らした先生が強引に紙を奪って破いてエンジェル様を終了させてしまった。
それが1ヵ月ほど前の話でそれからずーっとエンジェル様の呪いに4人は悩まされているという。
具体的には風邪で高熱を出したり、車に轢かれそうになったり、夜に謎の気配を感じたりと
数え出したらきりがないほどの不幸な目にあっているそうだ。
親父はエンジェルは神の意思を伝える神の子供だから教会で心から謝れば必ず怒りは必ず収まると話した。
少し聖書を読んで聞かせた後、女生徒たちは神に懺悔してエンジェルの怒りから解放された。
念のため、先生の連絡先だけを教えてもらって2時間ほどで帰っていった。
帰り際に女生徒たちは「体が軽くなった!」と1ヵ月におよぶ永い呪いからあっという間に開放された。

632 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/07(水) 22:44:50 ID:a6IF0eir0
教会の日曜日は忙しい、今日は異例のお客様もあったことでかなり遅めの昼食になった。
俺は親父に今日のエンジェル事件の真相を聞いてみた。答えはわかっていたが一応確認がしたかった。
答えは予想外のものだった。
「先生はかなりつらい状態だな・・・なんともならないかもしれない」
いったいあの先生になにが憑いているというのか?気になった俺は親父に詳しく聞いてみた。

親父いわく(キリスト教の考え方とは全く異質の考え方だが)
霊というのは単体で動いていることはほとんどなく強い意志を持った霊を中心に無数の霊で構成されていることが多い。
強い意志=霊長類なので動物霊や虫などの霊を単体で見ることはほとんどないのではないかと言っていた。
人間同士の霊がくっつく時は同じ意思を持った霊が合体することが多く、個人的な恨みを残して霊になったとしても
いくつも合体することで漠然とした恨みの塊になりいわゆる成仏への道が完全に絶たれてしまうわけらしい。(個々が原初の恨みを解消できない)
脳を持たない霊魂は霊になってまで達成したかった目的をいつまでも記憶できないのでどうしても漠然とした悪霊になってしまう。
神父がいうのも変な話だがほとんどの人間は死んですぐにお経などを聞かせたりすることでこの世そのものとの未練を断ち成仏していくことが多いらしい。
生前に死んだら無になる。死んだ人間はなにもできない。幽霊などいない。という考え方の人も幽霊になることは少ないと言っていた。

634 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/07(水) 22:46:32 ID:a6IF0eir0
先生には1つの強力な悪霊がついている。その霊に吸い付けられる様に様々な人間や動物や謎なものの霊が集まっているのだという。
その強力な悪霊は先生を不幸に貶めるだけの力も十分に持っていると親父は言っていた。
親父は後日、先生に電話で連絡して教会に遊びに来るように自然に呼びかけた。
先生はやはりエンジェル様事件から身近にポルターガイスト現象のようなものが起こり始め悩んでいると打ち明けてくれた。
それは前回、生徒たち来た後も変わらず続いているらしい。 一番相談したかったのは先生だったのだ。
親父は先生に「この世に幽霊など存在しない」と説教をはじめ、まさしくキリスト教の司祭としての説教を始めた。
これには正直、驚いた。 親父の口から幽霊が存在しないなどという言葉は聞いたことがなかったからだ。
その後も先生は仕事終わりになんども教会に顔を出すようになり親父の説教を熱心に聞いていた。
だがポルターガイスト現象は一向に収まらないと悲痛な面持ちで泣きながら話していた。

635 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/07(水) 22:47:48 ID:a6IF0eir0
先生が通い始めて1ヵ月、シビれを切らした俺は親父になぜ先生を除霊してやらないのか聞いてみた。(わかりやすく伝えるために除霊と書きます)
親父はやれやれといった顔をしながら「先生に憑いているのは自分本人の生霊だ」と答えた。
親父いわく生霊はもっともタチが悪く払うことはほぼ不可能。しかも自分自身の生霊をまとってしまうと最悪、自殺してしまうことが多いらしい。
生霊も霊なのでほかの霊を吸収する。しかし原初の意思をいつまでも持ち続けることが多いので(意思の発信源が生存しているため)
その霊の大きさ(物理的ではない)は死者の霊とは比べ物にならない。
先生は極度のマイナス思考、自虐体質、もしくは人に言えない悩みを抱えている、自分に嫌悪を抱いている可能性があるらしい。
それがエンジェル様の呪いという暗示をきっかけに自らの力でポルターガイスト現象を引き起こしてしまっている。
若い子供などに多い現象(自分の顔が嫌いだとかが原因)だが恋をしたりすることで改善するよくある現象だと教えられた。
霊の存在は真実だがそれを誰もが認識する必要はないと言っていた。 神父が説く「知らぬが仏」というやつである。

637 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/07(水) 22:49:47 ID:a6IF0eir0
最後に親父は正直、先生を救うのは難しいかもしれない。と言った。
それから先生は何度も教会に足を運んでくれたがポルターガイストは収まることはなかった。
先生は病院で「重度の鬱病」と診断され学校をやめて実家の田舎で養生すると言ってそれきり来なくなった。
何度か手紙が来たがポルターガイスト現象は実家でも起こると書いてあった。
その後、音信不通になってわずか半年で先生は自殺してしまった。
自殺した場所は勤務していた中学校。
都会で教師になることに憧れて夢が叶ったのに田舎に帰ったのがさらに追い詰めてしまったのだろうか?と俺は想像したが時すでに遅し。
自殺の一報を聞いた親父は自分の無力さに朝の懺悔を昼までしていた。

おわり。

神父の子・里親

2011/8/21|カテゴリー:神父の子シリーズ|comment:6件

165 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/06(火) 15:45:34 ID:cX30Hz2o0
ある日のこと
「拾った子猫を飼ってもらえないか?」と小学生くらいの女の子とその母親が来た。
商売柄?と言っていいのかわからないが教会にはこの手の相談がよく来る。
残念ながら拾ってくる小動物全てを飼っていたら見事なワンニャンランドが出来上がってしまうので
貰い手を一緒に探すのを手伝うという形で一時的に預かる感じにしていた。
命を大切にするのはとても大切なことだから親父も母も嫌な顔1つせずに里親探しを手伝った。
俺はもっぱらインターネット部隊として里親探しを頑張った。
猫は去勢や予防接種なども里親がみつかる重要な部分でもあるので親父は貧乏だったが自腹を切って払う時もあった。

166 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/06(火) 15:46:19 ID:cX30Hz2o0
俺は早速、インターネットの里親募集に写真を載せた。
親父と母親はいつものペットショップとパン屋さんに写真を張ってもらえるように頼みにいった。
猫を拾った女の子は学校の帰りにいつも猫に会いに来ていた。
子猫を中心としたあたたかい人情の輪のようなものを感じていた。
2週間ほどでインターネットで里親が見つかり、むこうから車で引き取りに着てくれることになった。
おまけに予防接種や去勢はこちらで致します。と言ってくれてとても大助かりだった。
正直、我が家はみなさんのお裾分けで食いつないでいるような貧乏な家だからだ。

167 名前:神父の子 ◆/TT.ge0EVs 2007/11/06(火) 15:47:26 ID:cX30Hz2o0
子猫の受け渡しの日、親父はたまたま別の教会に出張に行ってしまっていた。
俺と母と女の子で里親になってくれる山田さん(仮名)にあまった餌や匂いのついた毛布などを渡した。
子猫がいなくなってほっとしたようなさみしいような夕食時に親父は帰ってきた。
親父も子猫がいなくなったことを少し寂しいと感じているようだ。

その時、親父がケモノの匂いがするといって鼻をくんくんしながら部屋を徘徊した。
その夜、親父が猫がいると言って家の中と外を探しはじめたがもちろんいなかった。
次の朝、親父が山田さん(仮名)に連絡を取ろうとしたが、置いていった連絡先はまったく関係のない電話番号だった。
俺はインターネットで残っている情報から山田さん(仮名)に連絡が取れないか?と聞かれてあわてて連絡をくれるようにメールをしてみた。

次の日、メールの返事が来ていないことを親父に伝えると親父は肩を落としながらこう言った。
「あの子猫、ミキサーに入れられて死んだかもしれん。申し訳ないことをした。かわいそうなことをした。」と

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