きまぐれ企画・ピカチュウ版『捕獲禁止』縛りプレイ記第四段。

お月見山越えなるか!?


*****


・前回までのあらすじ
コイキングは、『はねる』と『体当たり』しか覚えないらしい。


*****


「…さて、どうするかな」


技マシンの件でどっと疲れてしまった俺は一日で山を越えるのは諦めて、一度ポケモンセンターに戻ることにした。

一体で戦うためかなり負傷したじゃっくの治療を待ちながら、借りたタライの中で泳ぐきんぐに話し掛ける。


「…お前、残るか?」


ぴちゃん。
タライの中の水が音をたてる。


「山越えは、正直お前にはキツイと思う」


じゃっく一体なら指示も出しやすいし、体調の管理もしやすい。

まだ俺も新米トレーナーだし、無理はするべきじゃないと思うんだ。


「だから…残れ」


ポケモンセンターの人にはもう話してあった事だった。
暴れも噛み付きもしないきんぐを気に入ってくれた様で、置いていく事は了解済みだ。


きんぐは跳ねることもしなかった。
俺たちの間に何だか気まずい空気が流れる。

遠くでロケット団だか何だかが民家を襲撃したとかいう非日常的なニュースがテレビを通してぼそぼそと流れていた。


「治療、終わりましたよ」


抱えられてきたじゃっくを受け取ると、俺はきんぐに背を向ける。


「悪かったな、長い間付き合わせて」


じゃあな、と足を踏み出す。
ウィーン、と音がしてセンターの自動ドアが開いた。



ぴちゃん。



響く水音。

振り返るが早いか背中に衝撃をくらって俺は地面に転がった。


「な…」


し、信じられねぇ。
コイツ(きんぐ)、人に体当たりかましやがった!


「何する…ん…」


台詞が途切れる。
きんぐは、歯も無いハズなのにズボンの裾にかみついて離れなかった。


「…貴方と一緒に居たいみたいよ」


センターの人がきんぐを見て微笑む。


「…そうですね」


結局メンバーは変わらないまま、旅が続くことになったのだった。



*****


という事が実際あったかどうかはさだかではありませんが、本気で逃がそうと考えたのは事実。
手持ちがじゃっくじゃなければ逃がしてました。


きんぐ、が、弱い。

話が、進ま、ない。

ん、コレ、続くの?