この……っ、時間泥棒…………っっ!
そんなワケでお久しぶりです、名無です。
残業だらけの会社は思いの外きつくて「あーあ」な感じです。
楽しいけどね。
はんぱなくきついけど。
職場はヨコハマのポケモンセンターの近くです。
毎日大観覧車を横目に会社に行っています。
ちくしょう、遊びたい!
ピカチュウ好きがたたって、手ブロでプレイ記をはじめました。
見つけてもそっとしておいて下さい。
色々続きを書きたいけど、マイペースにSSを書くところからまたスタートしようと思います。
というわけで、追記より復帰第一号文。
「いや、顔も覚えてないし」
金に輝く長い髪を指先で弄びながら、彼は飄々と言いきった。
「………………何、二人ともなんて顔してんの」
不思議そうに、いや、むしろそんな表情をされる意味がわからないとでも言うかのように眉をひそめた少年。
その目の前に座っていた、黒髪の青年と栗毛の女性はその言葉に顔を見合わせた。
「………あんた、ムーミンみたいな顔になっとぅよ」
「キミもね、サファイア」
青いカバの存在を認めることに反感を抱きつつ、しかしいちいちツッコむことをとうの昔に諦めた少年は「何も聞かなかった」と目を閉じる。
若干の処世術を身につける程度には、少年も成長したのだ。
「じゃ、あたしばフローラったい!」
「あ、違う違う。君はミーの方だよ」
「なしてー!?」
「あんなに品がよくないだろ?」
「ひどか!あんただってムーミンみたいに優しくなんかなかとよ!!」
「まぁ、どっちかっていうとスナフキンかな」
「せからしか!」
「あ、そういえば知ってる?ムーミンっていうのは、ムー大陸の民って意味なんだよ」
「え、本当?」
「いや、待て」
…………誰にだって聞き流せないことくらい、ある。
うやむやのうちに、先ほど栗毛の女性の放った「エメラルドのお父さんお母さんば、どんな人だったと?」という問いはまるで無いものになった。
薄情だろうか、いや、きっとそんなもんだろう。
もう十年以上昔の話なのだ。
おまけに、家出してからは写真すら見ていない。
仲良く喧嘩する二人を見ながら、彼はぼんやり考える。
(……こいつは、母親の顔覚えてんのかな)
そういやそろそろ命日だって、オダマキ博士が言ってたっけ。
まぁ、ルビーが居れば大丈夫だろうけど。
「………ルド、エメラルド!」
「え、あ、呼んだか?」
「どうしたんだい、ぼーっとして」
少しの、沈黙。
「………多分、小さいんだろうな、って」
「え?あぁ、御両親の話?」
何が、と聞かなくても大体分かってくれる。
そういう気楽さから、なんだかんだ言っても少年は彼等から離れないわけで。
「案外、モデルの様かもしれんとよ!成長期が来とらんだけで」
彼女が会話に加わることで、また三人の会話がくるくると回りだす。
「金髪はどちらゆずりなのかな」
「それは確か母親だった気がする」
「じゃ、ツッコミ体質は父親譲りかもしらんね」
「きっとそうだよ!」
「こらこら、勝手に決めるな」
ふと、二人が思いついたように顔を見合わせる。
「あ、あとは凄く子煩悩だっただろうな」
「確かに!」
「なんでわかるのさ」
「だって、」
ふわり、二人が笑うことで会話の流れが止まる。
「エメラルドって、幸福を司る石なんだよ」
ぴたり、時間が止まる。
少年の脳裏にふと浮かんだのは、夕闇の中二人の大人が自分に手を差し出す光景。
「…そう、なんだ」
「うん」
「そうったい!」
なんだか目頭がかぁと熱くなってしまって下を向く少年に、二人は何も言わずグラスに麦茶のお代わりを注いだ。
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うん、ひどくなってるなんてわかってるもん。