話題:ひとりごと

村田沙耶香の「しろいろの街の、その骨の体温の」を読んだ。小学生から始まった物語は中学生になって無意識に起こるスクールカーストをリアルに生々しく描いていた。読みながら自分の学生時代に自然と意識がトリップしてしまう。

あたしの学生時代にもスクールカーストは存在していた。それをスクールカーストと呼ぶことを知らなかった当時、感じていたのは、グループがあるということ。イケてる、大人しい、真面目、オタク、どこかしらに所属して、中身のない話をする。ハブれないようにと必死である同級生たちとうまく馴染めなかったのはあたしが転校生だったのもあった。できあがったグループに入るのはなかなかにむづかしく、あたしはひとりでいることに慣れるよりほかにない状態で、無心に本を読んでいた。そして、その名残が今のあたしの一部となり読書は趣味となった。本には救われてばかり、ほんとうに。当時はオタクであることも気持ち悪がられていた時代、アニメを観てるなんて言えないし、すきな音楽もラジオも言えない。だれかが言った無難に同調する。真意なんてどうでもよく、輪を乱さないことだけが秩序だった。本のなかでは、自分の容姿に値段をつけて判断していたけれど、容姿もまた大事な情報だったなと思い出す。卒業してしまえば、そんなにも会わなくなるのに、学校という箱庭にいるときはそこがすべて。社会に出てしまえば、ひとりでいることを気に留めるものなんていなくなるというのに。あんなにもひとりでいることを悪のようにしていたのにふしぎなものだ。

社会にもカーストはある。どこまでもつきまとう呪いのように。学生の頃よりも社会に出てからのほうがつらいことが多かった。そんな社会とも年々折り合いをつけられるようになり、今年で社会人10年目となる。転職をしながらもスタイルを確立できてきたような気がした。本音を言えば、結婚して子育てしながら働いていたりしてると思っていたけれど。今年で28歳になることにおそろしさを抱きながら、今年こそはと願っている。