それから
一ヶ月ほど経った頃ーーー


アラシアンズ国の騎士隊長
MJは
いつもの警邏に出かけていた

パトロールといっても
建国以来
大きな戦争の1つもない
平和な国


うららかな日の光
花咲く野辺



「ひまわりさんおはよう」

「小鳥さんこんにちは」

「・・・
メ、メルヘンだな」


ふわっ


「ん?あの湖・・・
何者?!」

そっと身を潜めて近づくMJ
水を湛えた澄んだ湖面に


ふわり


幻を見た


それは一人の青年
優雅に衣を翻し
なめらかに湖の上を舞う姿

軽やかなステップ
流れるようなターンに
MJは釘付けになった


ガサッ


「だれ・・・?」


木陰から
バッと飛び出した!!

「これなるは
アラシアンズ国騎士隊長
MJと申します!
勝手に覗き見た無礼
大変失礼いたしました!」

「よせやぁ
頭上げろよー」


「見たところ今の舞!
人を超えた仙人?いや、
妖精かと思われます!!

図々しい頼みではありますが
今、我が国にのしかかる
難題を解決する良策を
お教えいただければと!」


「国の・・・難題?」


青年のふわふわした空気が
一気に
キリリと引き締まった



フードの皆さんの苦悩

美味しいものを
食べたくとも食べられない
国民のジレンマ・・・


話を聞いた青年は
ちょっと首をかしげ
考えたあと


「これなら」


スッと何かを取り出した

(『今、何も持ってない
空中から?!』)





「Mets・・・」


両手の間には
見たこともない
透明の容器!!

青年はそれを
驚くMJに手渡した


「来てくれ
王宮で待ってるよ〜」

「待ってくれ!
あなたは一体?!」


途端に青年の姿は
かきけすように見えなくなり
MJの手には
空の容器が残された・・・