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マーベラス!!

国中が
喜びに沸き返った!

この半年
行方知らずだった
王が帰ってきたのだ!!


「サトシ=クン15世!!」


彼の姿を知るのは
ごく一部の限られた者のみ
直属の部下である
MJにすら知らされない
それが
この王家のしきたりであった

しかし記者である
SHOくんは
数々の取材の中で
その姿を知っていた

「どうしてあなたは
礼拝堂に」

「閉じ込められ
ちゃった」


なんでも
王宮の
セキュリティ強化のため
半年前、怪しい鍵屋に
鍵の取り付けを頼んだところ
王を閉じ込めたまま
帰ってしまったという

中には充分の食料

そして
魔法による投影機しかなく
サトシ=クンは
不自由で暇で
しょうがなかったそうな

「体がなまるから
たまに踊って
外の世界に投影させてみたら
面白かった」

「まずは
助けを呼んでくださいっ!」
「たまにはこういうのも
いいかなって」
「危機感を
覚えてください!!」

「いいじゃん
密室は破れました」
「キャラ違ぇよっ!!」


そこまで話すと
サトシ=クンは真剣な
そして
落ち着いた眼差しで
階下を指し示した

「ここまでくれば
もう大丈夫
礼拝堂の地下に
あれ、あるよ」






王家に伝わる幻の飲み物

それがついに
解放されたのだ!!


Mets!!


それは魔法の飲み物!!

加えて
清々しい喉越し
味わいっ!!

身分の差もなく
全て平等に国に広く
行き渡らせられた


もう誰も美味しい物が
食べられないと
泣くことはない!!

あの幼いホットドッグくんも
ステキな笑顔を浮かべ
フードの皆さん
人間の皆さんと肩を組み
パレードに加わった


アラシアンズ国に
再び平和が訪れた!!


城の窓の下には
喜びにあふれる国民の喚声

大きく旗が翻る!!


「We want Mets!!」


その下には
この革命を成功へと導いた
5人の英雄たち



歓喜の声がいつまでも

いつまでも!


マーベラス!!

マーベラス!!




マーベラスっっ!!!

マーベラス!!

「ここが
最後の部屋・・・」

すでに押し寄せた群集は
大広間、王の居室を通り抜け
王宮の一番奥に
たどり着いていた


礼拝堂

整然とそびえ立つ
小さな白亜の塔

しかしその扉は固く閉ざされ
これだけの大人数で
押そうが引こうが
ビクともしなかった

ようやく追いついてきた
MJがその窓を見上げる

「礼拝堂・・・
やっぱりあれは
天使だったんだ」

『発想が天使だなぁ』

誰かがつぶやいた


「さっきみたいに
ディスプレイとか
ないかな?」

「そうそう同じパターン
あるわけ・・・」
「おっ?これなんだ?」
「聞けよ!
アイバッティ!!」


扉のまわりに
うっすらと
何かが彫られている

アイバッティがさわった途端
扉を装飾するように
ぼんやりと淡く光りだした!

「わわっ」
「何やってんだよーーーーーーっっ?!」

「これ・・・
文字じゃね?」

「見たことのない
文字だなー
あっ・・・」


その時
フードの皆さん
人間の皆さんが
一斉に
うしろを振り向いた!!




「えっ・・・俺?」


「頼むよ!SHOちゃん!!
記者のSHOちゃんなら
読めるよっ」


「たって俺
革命を客観的に取材する
立場としてだなー」

「カタいこと言うなよ」
「アラシアンズ国の
命運がかかってんだ
ちょっとぐらい
協力しても
いいんじゃない?」

そうまで言われると・・・


美味しいものたちの
悲痛な叫び

美味しいものを食べたい
人々の純粋な願望を
近くに見聞きし
伝えてきた者として

果たすべき
役割がある・・・


「微力ながら」
「やったあっ!!
ありがとSHOちゃん!」

はぐっ
「わっ!くるしっ」


かすかに浮かぶ古い文字を
指でなぞった

「これは・・・English」

「読めるのか?」
「ああなんとか」


昔調べたことがある

一定のリズムに乗せて
正確な抑揚で詠唱しなければ
意味をなさない
特殊な魔法言語だ

「ただ
詠唱を完成させるには
みんなの協力が必要だ
俺についてきてくれ」

「わかった!」


遠き昔に忘れられた
流暢なEnglish
今!目覚めの時を迎え
高らかに響き渡る!!


「お米のいる奴
Put your hands up!!」

Yeah!yeah!
yeah!yeah!


「お米のいる奴
Put your hands up!!」

Yeah!yeah!
yeah!yeah!


絶好調超!なC&Rが
あたりにわんわんと共鳴し
熱気の高まったその時!
扉のまわりが白く明るく
輝きだした!!


「扉が!!」


「開く・・・!!」


封印された扉が
重々しく開いていく
人々は息を飲み
その様を眺め


礼拝堂の白いエントランス


そこに佇む人


その
おだやかで優しい笑顔!!


一気に歓声が上がった!!






「サトシ=クン!!」

マーベラス!!

「オオオオオーーーーーーーーーーっっ!!」

正門を突破した人波は
一気に長い回廊を抜け
大階段の元まで!!


カツッ・・・


先陣を切る騎士隊長
MJの目の前に

一人の影が立ち塞がった


「お前は・・・!!
アリエール卿!!」




それは
幼き日から
MJと共に鍛練を重ね
剣の腕を競い合った
アリエール卿であった!!

「おい
お前どっから入った?!」

「へ?
裏門開いてたけど?」


・・・


「ま、まあいいっ!!
そこ通せよ」

「・・・嫌だ
と言ったら?」


アリエール卿の口元に
不遜な笑みが浮かぶ

シャッ!!

腰に差したサーベルが
MJを襲った!!

「なっなぜっ?!」

「MJ!!」
「クッ・・・
お前たちは先へ行け!!
ここは俺が食い止める!!」

「(定石も
MJが言うとかっこいいな)
先に行って待ってるぜっ!」

「早く済ませて
来てくださいよー!!」


バタバタと賑やかしく
群集が大階段を登っていく

それを見送り
MJは静かに笑みを浮かべた


フッ・・・


「なんだ?
笑ってるのか?」


「ああ
お前も同じだろ」

「やっぱりな」


仕える主君を同じくする2人

しかし
いつの日か
本気で剣を交えたいと
思っていた!!

「今日がその日だっ」


鞘から
火花の如く光が閃いた
居合

モーションも見せず
剣先がアリエール卿の
頬をかすめる!


ツ・・・

うっすらと血が浮かんだ


「腕、上げたじゃねぇか」

「へへっお前こそ」


ニヤリと笑う2人の騎士

光の軌道が弧を描く
一閃・・・ニ閃!
石造りの広く静かな空間に
剣のぶつかる音が響く


「ジェムボール
クラッシュっっ!!」

交わした隙に
アリエール卿が
怒涛の突きを繰り出した
その手捌き流星より速く

「っ!!」


カシーーーーーン

一突きが
MJの手の甲をかすめ
剣を弾き飛ばした!!

「覚悟っ!!」

アリエール卿が
迫った瞬間!!


っ!


「消えたっ?!」

「甘ぇよっ!!
馬鹿野郎!」

クルリ
アリエール卿の足元に
素早くすべりこみ


重い一蹴っ!!


「かはっ」

ふくらはぎをしたたか打たれ
足を押さえるアリエール卿

「終わりだ」

MJが
素早く拾い上げた剣を
その首筋にスラリと当てた


「ふっ
やるじゃねぇか」

アリエール卿が
参ったというふうに
両手を挙げる

「お前も強くなったな
ま、俺ほどじゃねーけど」

「言うなぁ〜」

クククッと漏れる笑いが
顔を見合わせて
大きく響きだす

踵を返し
階段を登りながら
MJの背中が
小さく手を振った

「また3年ぐらいしたら
やり合おうぜ」


「おうっ!」

マーベラス!!

その容器には
こう記されていた


「脂肪の吸収を抑え
排出を増加させる」

「食後の血中中性脂肪の
上昇を穏やかにする」


世の中に
そんな魔法のような
飲み物が?!


「ここに我々は
1つの解決策を見た」


脂肪を燃やす飲み物!!


それさえ手にすれば
美味しいフードの皆さんの
苦しい現状を
打開することができる!!


「俺も唐揚げ食いたい

「それは人間側の
切なる要望でもある」


こうして王宮の前には

食べてもらいたい
フードの皆さん

食べたい
人間の皆さんが大集結し

創国以来前例を見ない
大きなRevolutionの日を
迎えたのである!!


「でも開いてないよ」
「えっ?」


王宮の門は固く閉ざされ
貴族の皆さんも
開ける方法を知らないという

「そういやこの国
王様とか
何してるんでしょうね?」

「確か半年前から
行方不明とか」


王宮前広場に押し寄せた
フードの皆さん

いつも陽気な
ハンバーガーさん
肝っ玉ハムエッグ母ちゃん
ちっちゃいピザっ子まで

ここは正面突破!とばかりに
次々と門に
ぶつかっていく!!


ヒューン!!

「いててててっ」


コーンコーン
何かが
頭にぶつかった!!

「クリスタル・・・?」

フードの皆さんめがけて
流星の如く
空から次々と襲いかかる
クリスタルの球体!!

これはまるで・・・?!


「パズド・・・いやっ
失われた古代魔法か?!」

「CM設定の
クロスオーバーさせない
つもりだ!!」
「真面目だなぁ」


しかし!
これでは進めない

「あ、こんなとこに
ディスプレイがあるよ」

・・・?!

ほんとだっ!!
時代考証を
あざ笑うかのように
クリアーなディスプレイが!


「ここは任せてくれ」


ニノ=サンが
画面に手を伸ばす!!




右に左に
巧みな手のスライド
目にも止まらぬ鮮やかさ


「おおっ!
あれを見ろ!!」


落ちてきた球体が
空中で次々と連鎖し光り
消えていく!!

「今だっ!!全隊突入ーーーーーっっ!!」

MJの騎士隊が
雄々しく門を蹴破り
道が開かれたっ!!

「ニノ=サンも早く!!」



「もうちょっと遊んでから
追いかけます」

マーベラス!!

それから
一ヶ月ほど経った頃ーーー


アラシアンズ国の騎士隊長
MJは
いつもの警邏に出かけていた

パトロールといっても
建国以来
大きな戦争の1つもない
平和な国


うららかな日の光
花咲く野辺



「ひまわりさんおはよう」

「小鳥さんこんにちは」

「・・・
メ、メルヘンだな」


ふわっ


「ん?あの湖・・・
何者?!」

そっと身を潜めて近づくMJ
水を湛えた澄んだ湖面に


ふわり


幻を見た


それは一人の青年
優雅に衣を翻し
なめらかに湖の上を舞う姿

軽やかなステップ
流れるようなターンに
MJは釘付けになった


ガサッ


「だれ・・・?」


木陰から
バッと飛び出した!!

「これなるは
アラシアンズ国騎士隊長
MJと申します!
勝手に覗き見た無礼
大変失礼いたしました!」

「よせやぁ
頭上げろよー」


「見たところ今の舞!
人を超えた仙人?いや、
妖精かと思われます!!

図々しい頼みではありますが
今、我が国にのしかかる
難題を解決する良策を
お教えいただければと!」


「国の・・・難題?」


青年のふわふわした空気が
一気に
キリリと引き締まった



フードの皆さんの苦悩

美味しいものを
食べたくとも食べられない
国民のジレンマ・・・


話を聞いた青年は
ちょっと首をかしげ
考えたあと


「これなら」


スッと何かを取り出した

(『今、何も持ってない
空中から?!』)





「Mets・・・」


両手の間には
見たこともない
透明の容器!!

青年はそれを
驚くMJに手渡した


「来てくれ
王宮で待ってるよ〜」

「待ってくれ!
あなたは一体?!」


途端に青年の姿は
かきけすように見えなくなり
MJの手には
空の容器が残された・・・
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