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帝誕!!

ここ最近、いやもう一週間はたっただろうか。






臨也さんが、いなくなりました。









といっても、僕に会いに来なくなっただけで、決して死んでしまったとかではない。

そしてそれは、本来なら喜んでいいことなのだろうけど。



(何か……うん、ホント何なんだろう)



この、スッキリしないもやもやとした気持ちは。

あれだけウザいと思っていた相手がやっと会いに来なくなったのだ。これでストーカー紛い(正臣がいうには立派にストーカーらしいが)の事をされずにすむし、その事によって引き起こされる二次災害、ある意味では池袋の名物ともいえるあの喧嘩に巻き込まれることがなくなるわけだ。

万々歳なことばかりなのだ。



(そう、何度考えてもやっぱりその結果に落ち着くはずなのに、)



それなのに、自分の中にあるこの感情は。



(臨也さんに会えないのを、寂しい、と感じている)



これは、実は困っていたりする。
なぜかといえば、その影響が日常生活に反映されており。
気がつけば臨也のことばかり考える自分がいる。
ご飯の時も、授業中も、友人と会話しているときも。
ふと気づけば頭は、感情は、臨也のことを考えている。


そして、つい先程親友に言われた言葉。




「最近のお前さ、何か恋する乙女♪ってかんじだぜ〜」




うん、まさしくトドメの一言だった。







そんなこんなで、帰路についている僕。
そして、



「………お久しぶり、です」



僕は、臨也さんに出会った。

















本当は色々言いたかった…いや、聞きたかったことがあった。
けど、でてきたのはそんな有り触れた、道端で知人にあった時の言葉。


(…向こうにしてみれば、それでいいのかな)


臨也からみれば、自分は数いる知人の中の一人にすぎない。
かくいう自分自身だって、親友に言われるまでは臨也に対する見方はそうだった。


「ねぇ帝人くん。今日が何の日か知ってるかい?」

そんなことを考えていると、臨也さんが急にそんなことを聞いてきた。


「今日、ですか?」
「そう、今日」


今日…3月21日。
ああ、そうか。


「春分の日、ですよね」
「そうそう、春分の日で休日なんだよね。まぁ情報屋の俺にはあんまり関係ないんだよねぇ……って、違う……ってわけじゃないけど、俺の求めてる解答じゃないね」


おぉ!臨也さんのノリツッコミなんてレアだ!

なんてことを考えつつ、みどりの日ではないのなら、今日は何の日なのか改めて考えてみる。

……なんにも思い付かなかった。


「えぇと、すみません、何にも思い付かないです」
「本当に?」
「……ええ」


本当は、一つある。
そう、今日は21日で僕の誕生日なのだ。正臣や園原さんから、プレゼントとお祝いの言葉を貰っている。
だが、


(今は…関係ないよね)


そう思った、のだが。


「今日友人から何か貰ったでしょ?」
「ふぇ?」


あれ、何で知ってるんだろ。
ああ、そうじゃなくて。
その質問をしてくるってことは、つまり。


「今日、帝人くん誕生日でしょ」


ああ、やっぱり。
何て言うか、いまさら何で知ってるか、って質問はそれこそ愚問というやつだろう。
この人情報屋だし。


「はぁ、まぁ、そうですね…。ところで、それがどうかしたんですか?」
「うん、君に渡したいものがあってさ」
「?ありがとうございます……」


渡したいもの……ああ、誕生日プレゼントか。
うん、それはありがたい。
ここはやっぱりお礼を言うべきだよね。


「はい、これ」


と、臨也はポケットから小さな箱を取り出す。
手の平にギリギリ収まるか、というそれ。


(お菓子か何かかな?)


そこで何気なく臨也の顔を見て。


「………あの、臨也さん。なんで、そんな、神妙な顔してるんですか……?」


うん、どう考えてもプレゼントを渡す表情ではないですよね。
なんだろ、何かこう……


(そうだ、何かを告白する時とかってあんな感じの表情になる…)


って、臨也さんが僕に何を告白するってーー


「帝人くん、俺とさ」
「はい?」
「結婚を前提に付き合ってください!」
「はい。………………ん、え?」


一瞬、何を言われたか理解できなかった。
それでも、時間が経つにつれ、頭にその言葉は浸透してくる。


「もう一回言おうか?」
「や、あの、そのですね、えーと、」


今、言うべきこと、それは。



「僕、男ですけど……」
「うん、知ってるけど」
「あー…知ってますか」
「みればわかるでしょ」


確かに。
いやいや、そうじゃなくて、何だろ大事な事が…。


「男同士は結婚できませんよ」
「って事は、付き合うのはOKなんだ」
「え、…………………まぁ、ダメってことは、ない、かな、と」


といっても、つい先程自覚した恋心ではあるのだが。
てか、こんな簡単に恋が実っていいものなのかな?
なんか、こう色々葛藤とかあっていいんじゃないかと。


「結婚のことだけどさ、それは問題ないよ」


青春というか、恋愛について考えていた僕に、臨也さんが先程の問題点をあげてきた。


「問題…ないんですか?」
「まぁね♪」
「でも、いくら臨也さんでも法律には」
「一週間」
「……はい?」
「この俺が、一週間も君に会わずに何してたか……わかる?」


何してたって、普通に考えれば。


「仕事……じゃないんですか」
「ブッブッー♪残念でしたー。私情が100%だからね」


私情100%って………
そんなの知るかって思うのは僕だけだろうか。
てかやっぱこの人ウザい。


「じゃあ一体何してたんですか…」
「法律を改正させてました★」
「へぇ、ソウナンデスカ……法律?」
「そ、法律」


あれ、なんだろ。ついにこの人頭に虫が沸いたのかな。ああ、でもそれはもとからか。


「それは酷いんじゃない?」
「あ、心の声が口からでちゃいました。…あのー、ところで法律を改正ってどういうことですか…?」
「そのまんまの意味だけど。大変だったんだよ?国が相手だと中々情報も入りにくくてさ。やっと弱みを握れたのが3日前。その後は色々な交渉とかで時間がかかちゃってさ。ごめんね、一週間も会いにこれなくて」
「あ、いえ。そんなことは…」
「で、さ。俺の告白、受けてくれるよね?」
「……別に、臨也さんのこと嫌いじゃないんで…………いい、ですよ」







そんなこんなで、僕は誕生日に、臨也さんと付き合うことになりました。
因みに、誕生日プレゼントといって渡された小さな箱には。






「指輪…ですか」
「そ。婚約指輪」
「……えと、……ありがとうございます。嬉しいです////」




なんか色々と早過ぎる気もするけど。
お互いの事は、これから知っていけばいいし。
一先ず今日は。





誕生日ってことで、全てが許されるってことにしておこう。

















(浮気は、許しませんからね?)

(俺が君以外を見ると思う?)




















HAPPY BIRTHDAY!!帝人!!
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確か……

「うーん……………」

「どうしたの、そんなあからさまな悩み方しちゃって、さ」

「あからさまで悪かったですね…いえ、大したことではないんですが」

「うん?」

「アンフェスバエナ……あれ?アンフィスだったかな…まぁどっちでもいいんですが。そんな団体…というか組織?いるじゃないですか」

「……うん、って言っていいのかな、これ」

「いいんじゃないですか?別に」

「…まぁ、いいかな。ここ原作関係ないし。で、そいつらがどうかした?」

「どうかしたとかじゃなくて……確かその名前自体意味があったから、ホント、どうでもいいんですけど、」


















確か競走馬でそんな名前の馬がいた気がしたもので………いましたよね?




わぁ、ホントどうでもいいね★
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今はまだ。

「俺はさ、人間を愛してたんだ。けど、今は帝人くんだけを愛してる。君だけが欲しい」

「そう、ですか。それは…困りました」

「迷惑?」

「いえ、そういうわけじゃありません。というか、臨也さんからの好意ならむしろ嬉しいです」

「じゃあ…、」

「ただ、僕は臨也さんをそういった恋愛対象として見たことがないんです。だから、今の僕には貴方に対する愛が、ないんです」

「……」

「なので、」

















今から、貴方に恋してもいいですか……?
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