最新話の荒神せんぱいが最高すぎてかいちゃった☆
ロウテツ的最適解を作り上げる天才になりたい人生だった。まだバディポリスに電話するクリミナルファイター兼お尋ね者(笑)がすごくおもしろくてツボです。もう提携しろよ、テツヤのためなんだろ。好き好きなくせによお。
ちょっと荒神ちゃんが年相応にあちゃちゃーなマスターなベーションをしてますけど、基本的に「テツヤの匂いを嗅ぎながら抱きしめたい」話です。続きの勉強話もかいちゃうかも。
ある土曜の朝、非番にも関わらずその少年は朝早くから天野鈴鈴羽の天空ルームを訪れていた。目的は様々だ。角王についてを七角地王から聴くも良し、休暇中の親友の見舞いという手ももある。しかし、今日ばかりはそのどれにも当てはまらなかった。少年は人のいない一室の椅子に座った。
今日の天気予報は曇時々雨。予報通り外は薄曇りで、太陽は望めない。じゃり、足元で砂利がなった。彼は顔を上げる。太陽と聞くと、かつてのライバルというやつを思い出す。数日前に負けてはならないだろう戦いに負けた太陽番長だ。しかし、それ以上に脳裏に浮かぶ少年。彼は、じっ、と空を見つめてから馬鹿らしく目を逸らした。
少年との別れは、あまりに強烈すぎた。少年が何度も熱望していたことを叶えてやり、少年の驚愕した顔を、彼は今でも覚えている。名前、黒岳テツヤという名前を呼ぶだけ、それだけだったのに、テツヤはそれだけのことにひどく執着していた。彼には、名を呼ぶ意味など無意味だ。名など覚えたところで、呼ばずに交流が終わる。今だってそうだ。名を呼んだからといって今明確なつながりはない。離れていった自分を、テツヤは追わなかった。
彼は歩みを進める。昨夜のことを思い出した。
人々の歓声、暗く先の見えない階段、それらを通り抜けた先に広がる広大なバトル会場は、数多くのファイターがいるバディファイトクラブだ。生唾を飲む、公式の大会とは又違う奇妙な緊張感すなわち、この場は自分のような子供の来る場所ではないだろう。喧騒に飲まれそうになった彼を、バディがそれとなく助けた。
「ビビってるのか、ロウガ。」
「馬鹿を言うな。」
「へへっ、どうだかな。」
彼、ロウガのバディであるアーマナイト・ケルベロスAは、まるで悪友のようだ。ロウガも、気を張らず付き合えるからこそエースをバディとしたのだろう。
ようやくこの場の雰囲気にも慣れたのか、ロウガは辺りを見回した。きっと、イリーガルモンスターや、クリミナルファイターばかりだろう。自分と同じように。72柱のモンスターが、なんだか目立つ。デンジャーやマジックが多いらしい。ロウガはまた、テツヤを浮かべた。テツヤと楽しげに踊り戦う悪魔たちを見てきたからか、この姿がまるで人間を馬鹿にしているように思えてしまった。悪ぶっているのだ、悪魔のくせに。そう思うと、ロウガはなんだか馬鹿らしく思えた。
そして、何気なしに前の客席に目をやる。そして、目を見開いた。
黒い鍔のキャップ、黄色のパーカー、橙の缶バッジ。ロウガは、ツバを飲んだ。こんな特徴の男を、ロウガは確かに知っている。自分に執着しておいて、今度はこちらに執着させている男、黒岳テツヤだ。いいや、ちがう。あの魔王アスモダイをバディとするテツヤが、果たしてこんな場所を訪れるだろうか。ならばいったい。考えている暇はない。ロウガは思わず口を開いていた。
「黒岳テツヤ、なぜお前が。」
振り向く彼が、どこか心でテツヤであって欲しいとそう信じているロウガは、その青い髪と緋色の瞳に、落胆した。もし、テツヤならどうしようとしていた。考えるだけでも無意味だ。あの少年はこの場に最も相応しくないのをロウガはよく知っている。この男が、テツヤの変装をして訪れるなどとは、到底想像になかっただけだ。もし、未門牙王だったとしても、反応は大してかわらなかったろう。
「YOYO、アンタ誰だYO……」
「変装のつもりか。」
ロウガのよく知るテツヤは、そんな風には言わない。それをも踏まえた故の一言だ。だが、言われた本人の変装センスからするに、その言葉を、変に捻じ曲げて聞いたに違いない。龍炎寺タスクは、カリスマ性あるものの反面どこか抜けている。
そんなに、この変装はいけないのか。とタスクが悩みだしたところで、デスシドーと絢爛朱雀のファイトが始まった。このバディファイトクラブに参加するのは、カタギの人間ではない。タスクならば、どうにかそういう手から逃れられるだろうが、どうもテツヤは不相応な気がする。それに、話によれば魔王アスモダイは、体の半身を奪われ本調子ではないようだ。軽率に変装して、同じバディポリスの仲間のテツヤを危険にさらすとは思わなかったのだろうか。
龍炎寺タスクは、食えないばかりか、詰めも甘い。よほど、人間らしいのだ。
「あの、バカッ。」
なるほど、バカだ。変装をした意味がまるでなくなった。
たった一人、完全にアウェイの中、タスクは絢爛朱雀に食いかかる。デスシドー、改めソフィアの身柄を保護するために、受け入れたのは自身のバディを掛けたバディファイト。ロウガは呆れた。こんなにできていないのだから、やはりタスクは中学一年生なのだ。大人に無理になる必要がないことを最近知ったからか、余計に子供っぽくなった。それにしても、自分だけならまだしも他の人間すら危険にさらすのは、果たしていただけない。
しばらくして、ロウガは人も疎らになったバディファイトクラブの会場に残っていた。絢爛朱雀の動向も気にはなるが、ロウガには一つ確認しておきたいことがあった。
客席の下に無造作に放置されている服、手にとると、どうしてかわかってしまった。この服、見れば見るほどテツヤが来ていたものにしか見えない。タスクが着ていたときにぴったりだったサイズからも、いつもゆったりした服を着ているテツヤのものに違いない。
「なんで、あいつが。」
服を貸したのか。同じユースのメンバーならば、服の貸し借り程度なら造作もない。ただ、どうしてテツヤが服を貸したのかが疑問で仕方なかった。
「エース、頼む。」
「おいロウガ、それをどうする。」
「……きにするな。」
会場を後にしながら、エースをその場に残す。龍炎寺タスクへの借りを返すために、有益な情報の一つでも流すのも悪くはない。
「ロウガ、」
エースに呼び止められ、ロウガは足を止めた。
「お前も年相応な男なんだな。」
「ウルサイ。」
怒気の籠った一言に、エースは笑い出した。こういうことについては、何倍も生きているエースの方が上だろう。まじめに服を胸に抱いたままのロウガでは、説得力もなければ覇気もない。怒り半分、ロウガはまた歩き出す。目的地は、廃ホテル。
埃が舞う廃墟は、文無しのロウガにとって格好の寝床だった。だれも近寄らなければ、邪魔をしない。ロウガは、ベッドに座り込むと、律儀に回収したテツヤの服を鼻に寄せた。なんとなく甘い匂いがする。多分、いいやタスクに匂いも染み付いてはいるものの拭えない子どもらしい匂いと、洗濯をしているのだろう洗剤の匂いと、バナナの匂いだ。空腹も作用して、自然と唾が出てくる。テツヤの帽子からは、もっと濃厚な香りに、嗅いだことがある髪の匂いだ。ロウガはますます喉を鳴らした。
「……っく、」自然と勃ち始めた自身を、ロウガは恨めしく睨んだ。脳裏には、笑顔と泣き顔と、自分を呼ぶ声が反響する。脳は、すでに理性を失い始めている。ロウガの青い瞳には光はなく、雄としての欲望に体を抑えられない。
「は、…あ……くっそ、く。」
手で扱くと、予想外に気持ちが良い。こういう成長につれた性の発達故の自慰行為は、中学二年生にもなったロウガだって数度経験していたものの、オカズとなる捌け口がちがうだけで、こんなにも感じるものが違うのかと、ロウガはまるで自分の体がそれでないように感じたのだ。
「っく、っつ……はっ。」
片方の手は、服。片方の手は、自身。触ればじんじんと熱くなる。嗅げば、なおさらだ。今すぐにでも、本物のテツヤを抱きしめて、この憤りをどうにかしたい。呼吸は荒くなっていき、ラストスパートだ。
最中では、罪悪感が増していた。自分に限りない尊敬の念をもつ年下の少年を、懐柔するような妄想をして、少年の残り香のある服を必死に嗅ぎながら致す、自分自身と、テツヤへの罪悪感と背徳感。それに勝る男としての高まり、本能。こんなに、二つの葛藤を持ちながらの自慰は、ロウガにも初めてのことだ。まるで、バディファイトでの高ぶる感情とよく似ている。
「……はっ、あ。っく、……ッ。」
褐色の肌に、吐精した白濁液が付着する。始めて達したときよりも、量も多ければ、疲労も多い。テツヤの服にも付いてしまった。これでは、返すこともままならない。あんなにいい香りだったそれは、今はもう自分の犯した悪の匂いに染まってしまった。
ロウガは、完全に凹んだ。まさか、自慰行為に走るほどテツヤに焦がれていたとは。もう、次にどんな顔をしてテツヤと向き合えばいいか、ロウガにはわからない。どうにか、真っ青な顔で事後処理をする。帽子はまだ無事だった。疲労した体をベッドに押し付けて、息をゆっくり吐いた。
自分の姿を客観的にみれば、ひどいものだ。きっと、その意見は誰もが同じだろう。頭を上げると、その目の先にエースがいた。もちろん、冷たい目だ。ロウガは、青い顔をした。
「絢爛朱雀に見つかったが、情報は仕入れたぞ。……生理現象だろ、ロウガ。」
気にするな。冗談交じりに、エースがいうものだから、ますますロウガは罪悪感に苛まれる。塞ぎ込み、ついにはなにも発しなくなった。
「借りを返すんだろ、ロウガ。」
「……ッチ。」
後には引けない、しっかり服を着込むと、ロウガは立ち上がった。目の前には、夜の街があった。超名古屋の街は、超東驚に似て煌びやかに明るい。屋上には誰も目をくれないだろう。屋上に上がり、空を見上げる。やはり、空には星はない。
テレビ電話というのは、実に疲れる。電話に出たのは、ユースの監督をしている七角地王と、タスクだった。ロウガは、いつもの調子で電話をしたものの、本当はどこかでテツヤが応答するのではないかと思っていた、
「……ロウガ、」
「なんだ。」
「あのテツヤってやつに会いたかったんじゃないのか。」
「なんのつもりだ、」
いいや。とエースが交わすので、ロウガは自分の内にある蟠りを見透かされたような気がしてならない。
「じきに朝だ、帰るぞエース。」
「おう。」
二人は朝焼けの中の闇に隠れるようにその場を去った。