昔読んだマンガです。
タクシーの運転手が車を走らせていると
全身ずぶぬれの女が手を挙げている。運転手は心の中で「なんか嫌なんだよなぁ〜、こういうのは‥‥」
とつぶやきつつも車を止め女を乗せた。
顔はうつむきがちで、前髪が長くてよく見えない。
「どちらまで?」
いつも客に尋ねるように聞くと
「‥‥この道まっすぐ‥‥」
ぼそっとした声がかえってきた。
居心地の悪い静けさが車内に流れた。
「あの〜、行き先は?」
と聞くと、ミラー越しに凄い顔をして睨み付けられた。
なぜかガチガチ歯を鳴らして震えている。
これはマジでやばい!そう思った運転手は女のいうまま国道をひた走った。
途中、運転手の自宅近くにさしかかった。
今日は息子の10歳の誕生日だ。プレゼントもさっき仕事の合間に買ってきた。今日家に帰れるのはおそらく深夜をまわってからだろう。運転手はふと、そうだ今ならもう遊びから帰ってきて家にいるはずだ。毎朝家を出るとき、息子はまだ寝ていて帰宅時にはもう寝ている。折角の誕生日、その日のうちにプレゼントを渡そう!と仕事中、客を乗せているにもかかわらず考えてしまった。
「あのぅ、うちこのすぐ近くでして、2〜3分で戻ってきますので、ちょっと寄らせていただけませんか?」
女は相変わらず震えていたが、怖い顔のまま黙ってずうなずいた。
運転手は助手席に置いてあった、綺麗に包装紙が掛けられたプレゼントを手にすると、小走りに細い路地に入っていった。
車に残された女は震える体をさすりながら、ドアを開けた。
運転手が入っていった路地を睨み付けるようにながめると外に出て運転手の後を追うように、細い路地に入る。
とたんに女の顔が見る見る青ざめていく。
彼女は見てしまったのです。今まさに葬儀を終え、走り去ろうとする霊柩車の助手席に、すすり泣く女性と彼女が持っていた写真。あの運転手だった。
元の車道に出ると、タクシーは何処にもなかった。
待ち合わせに送れそうになり慌てて家を出るも水やりの管理人から水を掛けられ、着替える時間もないので取り敢えずタクシーを拾ったら、おっそろしく冷房効きまくりでガチガチ震えが止まらないし、運転手は運転手で寄り道したいだぁ?でも、もう時間には遅れてるし2〜3分も同じことだな、なんて呑気に思ってたのに。
っていうオチです。マンガは結構意外な結末風に書かれてて面白かったんだけど、文才無くてスマソ〜。