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寝れない

きっと怖い思いしてる
泣いてる


寝ないとと思うのに寝れない
明日助けるんだ
寝ないと

電話

こんな時間
迷惑だよな
みんなだって明日に備えて寝ないと


この家に一人でいるの嫌だ

雨の音が弱くなってきた

止むのかな…

本当は今すぐにでも、一人ででも、ジュネスの入口叩き壊してでも、テレビの中に行きたい。
でもクマの言ったことと、りせの言ったことを思い出して、我慢する。
「いつものやり方で」
「私たちが失敗したら、誰が菜々子ちゃんを助けるの?」
だから我慢する。

どうせ寝れないし、今日あったことをまとめる。



ジュネスでみんな集まって、ゆうべのテレビのことを話したけど、手懸かりなし。

家に帰ったら、また差出人不明の手紙が届いた。
切手なし、消印なし。
文面…
書きたくない。
手紙は叔父さんが持ってる。

叔父さんに手紙を怪しまれ、警察署に連れていかれた。
あの時どうして俺も叔父さんも菜々子も一緒に連れていかなかったんだろう。
すぐ帰るなんて簡単に言って、俺はできない約束ばかりする叔父さんを前に責めてたはずなのに、自分だって
何で一人に




続き。
叔父さんにテレビの中で起きていることや、これまでの事件との関わりを包み隠さず話したけど、やっぱりまったく信じてもらえなかった。
俺が嘘をついていると思われた。
俺のことを信じてるから、ちゃんと話してもらえると思ったのに、残念だ、って。

俺も叔父さんにはわかってほしかった。
叔父さんは怒って部屋を出ていってしまった。

足立さんが、自分も俺たちのことを信じたいと言ってくれた。
叔父さんも信じたいと思ってるんだって。
ここに連れてきたのは、脅迫状めいた手紙を受け取った俺が心配だったせいもあるって。
悲しまなくていい、って言ってくれた。
よっぽど落胆して見えたんだろう、俺が。
実際すごく落ち込んだから、叔父さんなりの愛情なんだって言ってもらえて、少しほっとした。

叔父さんは一件目の事件を調べ直していたらしい。


解放されないまま午前零時になった。
部屋にテレビがあったので、マヨナカテレビを観た。
映っていたのは菜々子だった。

様子を見に行った直斗から、家には誰もいない、ドアが開いてて…
叔父さんが菜々子の携帯に掛けたけど、繋がらなかった。
叔父さんが非常線を張るよう他の人に指示して、自分も菜々子を探しに行った。

俺も行きたかったけど、足立さんに止められた。
事情がわからないから、解放するのは無理だと。
足立さんにも『事情』を説明した。やっぱり信じてもらえなかった。
事件が終わってないってことだけは、叔父さんも、多分一緒にいる足立さんもわかってたみたいだけど…。
警察の上の方の人たちは、犯人を見つけて事件解決と発表してしまったから、何かあるまでは動かないだろうっていう雰囲気だった。
だから警察が関わる前に、俺たちは俺たちで解決しなくちゃいけなかったんだ。
叔父さんにだって勘付かれちゃいけなかったのに。
あの手紙出した奴は、一体何のために




手紙のことは後で。

話し合ううち、
-堂島家の玄関に鍵をこじ開けられた痕跡なし→菜々子が自分で開けた
-菜々子は知らない人が来ても絶対に出ない→犯人は菜々子の顔見知り

犯人は
-攫った直後にあの世界に入れてる→人が入るくらい大型のテレビが必要
-大型テレビを載せる車が必要→セダン以上の大型車で移動
-目撃証言がない→辺りを走っていても不審ではない車
-宅配業者では?→なら菜々子が顔見知りでも自然
あの家に来て俺が宅配を受け取ったことはない。
留守がちな叔父さんに変わって受け取るのはいつも菜々子。

叔父さんが一から洗い直しているという、一件目【山野真由美】の事件の参考人に、宅配業者に転職した人がいた。
【生田目太郎】
生田目が犯人だった。
足立さんが捜査資料を丸出しにして叔父さんに知らせにいったおかげで、生田目の住所もわかった。
足立さんは、『堂島さんの応援に行く、自分が不在の間に起こったことは知らない』と、俺たちのことを見過ごしてくれた。
ありがたかった。

でも、遅かった。
俺たちが叔父さんに追いついた時、菜々子はいなくなり、叔父さんは大怪我をしていた。
生田目もみつからない。
テレビに逃げたんだ。
菜々子ももう向こうにいる。

俺たち以外誰もあの世界に行けないのに。
警察はこっちの、現実の世界を調べてるんだろう。

生田目の日記が出てきた。
『新世界の存在を知った、人を救わなければいけない』
救うって何だよ。
今は考えない。

生田目は事件のことを詳細に日記に綴ってたみたいだ。
これまでの被害者の住所。
天城、完二、りせ、直斗。未遂の人の名も。
みんな「そういえば攫われる前に宅配業者が来た気がする」と言っていた。
全部生田目なんだ。
生田目とは、道ですれ違ったり、声を掛けたこともあった。
好きな人を殺されて、気の毒な人だと思ってた。



叔父さんは入院した。
菜々子が生き甲斐だから、いなくなったら生きていけないから、救ってくれと言われた。
俺だって菜々子がいなくなったら


考えない。
菜々子は俺のこと待ってる。助ける。絶対助ける。
「おまえにはできるんだろう?」と叔父さんが言った。
信じてくれた。
俺にならできる。みんながいれば必ず。
明日…もう、今日だ。今日、絶対助ける。


少しでも寝よう。
目が痛い…。
俺が泣いてたって仕方ないだろ。
菜々子が、怖い思いをしていませんように。
せめて、眠れていますように。

信じることしかできない

やれることはやった
菜々子は元気になるから俺も元気でいる
明日も病院行こう
菜々子が喜ぶもの何だろう

大丈夫だ
菜々子は大丈夫
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