日々

気づいたら日付飛んでた。。。

正月は家族で過ごした。初詣はみんなと大晦日から二年参りに、人少ない時狙って今日の昼過ぎに菜々子と叔父さんと。

菜々子いるの嬉しくて家でごろごろしてしまう。結局みんなうちに集まる。

冬休みは宿題少なくてよかった。

でもそろそろ向こうの学校のレベルに合わせた勉強しないとな…。

鶴を折る呪いが解けない。

怖ろしい勢いで日付がぶっ飛んでいく。

稲羽にいるうちにやりたいことがたくさんある気がするので、取りこぼさないようにいちいち紙に書き出しておこうかとも思ったけど、それに縛られるのもアホらしいかと思ってやめた。

毎日、その時に、やりたいことをやりたい奴とやってる。

そういうのが楽しい。特別なこともいいけど、普通の毎日をちゃんと覚えておこう。

雪が結構積もったので、約束どおり、菜々子と雪だるま作って遊んだ。

菜々子が大量に雪兎を作っていたのが可愛かったが、ものすごい数だったので並べると結構シュールだった。

雪だるまはでかいの作ろうと思ったのに、胴体に頭乗っけた時に雪玉が砕け散ってショックであった。

そうか、固めるのにも技術がいるんだな。ちょっと調べておこう。

頽れていたら、菜々子にまた来年も作ろうね、って言われた。

来年はもっとでかいの作るぞ！

菜々子はすっかり元気になった。

一緒にテレビ見てると少し気遣う。菜々子は足立さんが何をしたのかまだきちんと知らない。叔父さんはなるべくニュースにチャンネルを合わせないようにしてるので、俺もそうしてる。

でもテレビで足立さんのことはほとんど報道されてないようだ。新聞にも名前は載ってなかった。何らかの圧力がかかっているんでしょうねと直斗が言っていた。

叔父さんは前に「２件の犯行について全部認めてる」って言ってたけど、それ以降足立さんの話をしない。

事件のことだから迂闊に部外者には話せないのか、話す気分になれないのか。両方だと思う。

ちょうど1ヶ月経ったんだな。

足立さんのことをたまに考える。

罪って何だろうとか。

『入れられるから入れただけ』って足立さんは言ってた。

入れる力がなければできなかったこと。拳銃を持ってても足立さんは人を殺したりしなかった。あの力を手に入れたからこそやってしまった。

あの力はどこから来たんだろう。

何とかサギリとかいうでかいめんたまは、どうして足立さんの中から出てきたんだろう。

どこまでが足立さんの意志だったんだろう。

考えてると、よくわからなくなる。

俺は足立さんのことをどう思えばいいんだ？

直接山野アナたちを殺したのは、もう一人の山野アナたちなんだろう。

でも足立さんが落とさなければ、二人は死ななくてすんだ。

手口や凶器が常識外のものだったとしても、結果として人が死んでるんだから、償うのは当然だ。被害に遭った人のためにも、その人を大事に思ってた人のためにも、罰は受けなくちゃいけない。何人の人を傷つけたのか、思い知らなくちゃいけない。

そして本人がその罪を認めたっていうなら、俺にはもう口出ししようはない。全部終わったことだ。事件は終わった。ちゃんと終わった。

なのに気分がすっきりしてるわけじゃないみたいだ。万が一、立件が不可能になって無罪放免で足立さんが目の前に戻ってきた時、前みたいにつき合えるかって言ったらそれは無理だ。

かといって、たとえば10年20年ちゃんと服役して戻ってきた足立さんと仲よくできるかと言えば、やっぱり無理な気がする。

じゃあ死刑になったら溜飲が下がるかっていえば、そんなこともない。

罪を償っても償わなくても、結局許せないってことなんだろうか。

逆に、向こうの世界に関してわからないことが残ってるのに、この世界で裁かれる足立さんに同情してる？？

『テレビに落としただけ』なんて本当は法律じゃ裁けない罪だし、つじつま合わせで自供した足立さんが罰を受けたとしても、俺は納得いかないのか？

あー

違うな。

違う違う。

もっとすごい単純な話だ。

俺は足立さんに腹を立ててて、足立さんが後悔してるところが見たかったんだ。

ものすごく個人的なことだった。

法律とか正義とか罪とか罰とかどうでもよかった。

あの力や向こうの世界が何だとか、足立さんは利用されてたのかもとか、だとしたらそれはなぜかとか、考えなきゃいけないことがまだある。

あの時に足立さんが言ってたことは相変わらず俺には理解できない。

理解できないのに怒るのはいけないことかと思ってた。全部わかるまで結論を出すのはフェアじゃないかもと思ってた。

足立さんは「この世界のルールに従う」って言ってたし。じゃあもうそれ以上言うことはないって。

でも『ムカつくから怒る』でいいのかもしれない。

俺たちに負けたから従うってことがあるか。

悪いことしたら「ごめんなさい」だろ！

まず謝れ、バカ！

ってことだ。なるほど。

足立さんに腹立つことと、謎が残ってることは別ものなんだよな。

謎は解く！でも足立は殴る！

でよかったんだ。

余計なこと考え過ぎた。

届かなくても怒ればよかった。

俺は足立さん好きだったよ。でも足立さんはそうじゃなかったんなら悲しい。俺や叔父さんや菜々子が、足立さんの止まる理由になれなくて悔しい。馬鹿なことした足立さんに腹立つ。

ていうか目障りだから消してやるとか普通に傷つくんだけど。

あの時、そういうのちゃんと吐き出せばよかった。本人に向かって。

足立さんは俺たちのことを思い出して、少しだけでも後悔しなかった？

怖がったり諦めたりせずに訊けばよかった。

法律とかは俺たちには手出しできないことだから。

あの世界や力について、一生懸命考える。

答え出るかわからんけど、考えるのはやめない。

わかったら足立さんや生田目さんにも教える。

知りたくないかもしれないけど、本当のことを知る権利と義務がある。絶対ある。だから教える。

俺は本当のことが知りたい。

練習試合だけど勝った。バスケ部の話。

陽介がお祝いに肉丼奢ってくれた。みんな応援来てくれたので張り切ってしまった。打ち上げ楽しかった。何かっていうと打ち上げしてんな俺ら。

吹奏楽の方は、再来月の予餞会で演奏することになった。松永も。

「おまえも出てく方なのになー（笑）」って飯田は空気読まない。さすが飯田。

バスケ、向こうでも続けたら大会で会えるかな？って言ったら、長瀬には「無理だろう実力的に」と言われ、コーちゃんには「いや3年になったらさすがに引退するわ」と言われ、おまえら夢がないな！

無理だろうけど！