孤独の船出



誰かといた空白が
誰かと出会った足跡が
誰かと語った風の音が

孤独を綺麗に描き出す

空白は月の形をして
足跡は波の形をして
風の音は鯨の声の形をして

たったひとりのためだけの
世界を作り出してくれる

そこに溺れ耽りたいという心は
どうして否定できようか
その孤独の美しさこそ
誰かへの愛だというのに

五稜郭




青年の声がテリオンだったことしか思い出せない


なんで



私は生きていようと思ったんだろうね


たぶん私



今気がつかないうちにめちゃめちゃ疲れているんだなあ


カチカチ夜の一雫



砂時計よりも軽快に
夜を運ぶ秒針は
落ちた涙を振り切るように
零した雫を思い出すように
音を刻んで巡っていく