「もっとあっちに行ってよ!!」
テントの中に寝転ぶ3人。
「これ以上動けねぇよ!!」
アヤが一番奥で眠ることになり、テルがその間で眠ることになっていた。
「うるさい!この!」
アヤがそう言ってテルを蹴っ飛ばす。
「どぅお……痛っ……おい!!」
テルがそう怒りながら足を使ってアヤの足を押さえる。
「ちょ!触んないでよ!!」
そう言ってアヤはテルの顔面を殴った。
「いでっ!!!」
テルが顔を押さえる間に、アヤはテルの足をどける。
「……ったく、暴れるんだったら外出すぞ?」
そう言うショウの声はどこか笑いを堪えている感じであった。
「もう!」
そう言ってアヤはテルに背を向けた。
「訳わかんねぇ…」
テルもそう呟いて、顔をさすりながら目を瞑った。
テルは今日の昼間起きたことを思い返していた。
(なんか怒涛のような数日だったな……)
テルがホールを作り出した。
すなわちテルがソグノとヴェリタを繋ぐ触媒のようなものになってしまったわけである。
未だ、誰も気がついていないが、ホールの行き先はテル自身の奥深くにある思いが反映されるのだ。
ロウが二度目に現れたとき、テルとロウは港町ボルトに辿り着いていた。
それはテルの心の奥でアヤとショウのことがあったからである。
そして次にホールを通ってソグノに来たときも母親に言われた地図上の場所があったためである。
そのため、比較的神隠し島に通じるホールの近くにテルたちは降り立ったのである。
(あれ? もともとここは夢の世界だったんだろ? こっちで寝て、夢見たらどうなるんだ?)
テルの中でふと生まれた疑問によってテルの目が冴えてしまう。
テルが目を開けると、横ではアヤとショウが眠っている。
(でも、ショウは普通に寝てるんだよな。それにアヤも……)
テルが何気なくアヤの方に視線を向けると、いつの間にかこちらに寝返りをうっていたアヤの目が開く。
「何見てんの?」
「なんもねえよ……」
「……むかつく。」
アヤはそう言うと目を再び瞑った。
それから少ししてテルも眠りについた。