あけましておめでとうございました
もう1月も下旬になっていたことに気付きうっすら(というか大量に)冷や汗をかいています。
改めましてあけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
ところで、11月頃に更新したいと言っていた長編ですが、まだ全く書けていませんので、正月に書いた長編組の短編を載せようと思います。
クオリティはいつもながらの低さです。
興味のある方は追記からどうぞ。
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徒然なるままに日々の話や本の話やゲームの話時々駄作
もう1月も下旬になっていたことに気付きうっすら(というか大量に)冷や汗をかいています。
【Have a nice year】
『起きてるかー!』
悪友の能天気な声が携帯から聞こえてきたのはもう間もなく日付が変わる、という時間
帯だった。普段なら「非常識な時間にかけてくんな」と一蹴するところだが今日は大晦日。大抵の家では新年を迎えるその時間まで起きていることが多いだろう。冬樹の家も例に漏れず、電話があったその時はちょうどリビングのこたつで家族団欒しているところであった。
「起きてるけどさ……なんだよ」
『神社! 神社行こうぜ!』
「初詣か? まだ日付変わってないぞ」
『だからさー、神社で年越ししようぜ! 察しがわりぃなー』
「えええ……明日になってからじゃダメなのか?」
『お前それでも高校生? 本当に若い?』
これは暗に責められている。
親に確認を取ると、二つ返事で許可が下りた。それどころか行け行け、と手で追い払われた。こちらに対しても内心でげんなりしつつ、近くまで来ているという友人と合流するためにコートを着込む。マフラーを巻きながら玄関を出ると、すでに連が家の前で待機していた。
「よっ、こんばんは」
この寒さにもかかわらず、いたって元気そうな彼は「寒いなぁ」と言いながらもどこか楽しそうで、一方の冬樹はと言えば寒さのあまりマフラーに顔をうずめ、そのせいで自分の吐く息で眼鏡が曇っている。それをひとしきり笑って満足したらしい連が先頭を切って歩き出す。
「他に誰か呼んでるのか?」
「ん? いやー、この時間に呼んで大丈夫なのってお前ぐらいしかいないでしょ」
「なんだそれ」
親友だろ、という言葉に冬樹もなんとなく納得し、そのまま近所にある小さな神社に向かった。
数分で到着すると、夜中だというのに神社はそこそこの賑わいを見せていた。いるのはほとんどが大学生と思しき若者で、それに交じって家族連れがちらほら。と、そこで思い出したことが一つ。
「そういえば高校生って夜中に出歩いて――」
「シッ」
連が素早く振り向いて冬樹を睨んだ。
「それを今言っちゃいかんでしょ」
「……それもそうだな」
出掛けに持ってきた去年のお守りをきちんと納めて、列に並んで参拝する順番を待つ。
冬休みに入ってから特に会うこともなかったが、連の話を聞いていると一週間ほど親戚の家に行っていたらしい。なんでも年の離れた従兄弟の面倒を見るので大変だったそうだ。一人っ子の割に、連は小さい子どもの相手をするのがやたらと上手い。扱いに慣れているというか、きっと弟か妹がいたらさぞかしかわいがっただろうなと思うほどである。
「さすがにお年玉とかはあげられないけど、たまにしか会わないからしっかり遊んでやりたくてさ」
「ふうん、お前らしいな」
「冬樹は? お前はどっか行かなかったの?」
「俺? 俺は特に……あ、でも兄貴が帰ってきたよ」
「えっ、夏さん帰ってきたの? なんでそれを早く言わない!」
冬樹には七歳離れた夏樹という兄がおり、今は就職して実家を出ているが休みに入ると時々帰ってくるのだった。幼い頃は冬樹と共に連もよく遊んでもらっていて、未だに夏樹が帰ってくると香坂家へ押し掛けてくるのである。
「まあ帰ってきたの一昨日とかだし、それに俺がメールとかしないの知ってるだろ」
「それもそうだな。あ、時計見てみろよ」
いよいよ新年まであと一分。周りもワイワイと賑やかになった。次第にカウントダウンの声が大きくなる。
「――3、2、1、明けましておめでとう!」
わーっ、と歓声があちこちで上がる。
「明けましておめでとう」
「今年もよろしく」
二人は静かに新年の挨拶を済ませた。参拝者の列はゆっくりと進んで、そして連たちが参拝する番になる。
賽銭を投げ入れ、二礼二拍手一礼。
「さて、今年も良い年になりますように、ですねえ」
「お前の悪さに巻き込まれないことを祈るばかりだな」
なんでだよ、と小突き合いながら仲の良い悪友二人は鳥居をくぐり、神社をあとにした。
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お粗末さまでした
性 別 | 女性 |
誕生日 | 6月4日 |