スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

ぶら下がり

お姉さん(Oさんで)がどこぞにお勤めしてた時の事。
その日もいつも通り仕事を終え、いつも通りに帰宅した。
当時Oさんは親元で暮らしていた。
普通の一軒家だったとの事。
ところがおかしい。
玄関に着いたのだが、何故か家には入りたくない。
こんな事は初めてだった。
「疲れているのね」そう思って家に入った。

家族と食事を済ませ、風呂にも入った。いつも通りだった。
「もう寝る」
居間でくつろぐみなにそう言い、自分の部屋のある二階へと向
かおうとした。
ここでまたおかしな感覚をおぼえる。
上がりたくない、何故かわからぬがそう思った。
けど明日も早いし、家族とテレビを見る気も湧かない。
疲れから来る感覚だと思いそのまま二階へと上がって行った。
Oさんの部屋は二階突き当たりの左側。
なにも変わったとこはない。
が、部屋の前で再び嫌な感覚におそわれた。
さすがにいらぬ事を考えてしまう。
けど家族を呼ぶのも馬鹿らしいし、取り合ってくれないだろう。
意を決してドアを開けた。
窓もベッドもいつも通りだった。
なんだか急に白けてしまい、服を片付けるとそのまま布団に潜
ってしまった。
疲れていたのだろう、すぐに眠くなって来た。

どれ位寝ていただろう。
Oさんはフッと目を覚ましてしまった。
まだ階下からはテレビの音が聞こえて来る。
少し喉が乾いていたが、気にせず眠ろうとした。
Oさんは、右向きの姿勢で丸くなって寝るクセがあった。
その部屋からすると顔を窓の方に向けて寝ている事になる。
気の性か、どこからかギーシ、ギーシと音が聞こえる。
何かが揺れてきしむような不思議な音。
Oさんはなんだろうと思いながらも気が遠くなっていった。

また目が覚めてしまった。
ベッドランプを付けて時間を確かめてみた。
「まだこんな時間」
少し不機嫌になりながらランプを消した。
ギーシ、ギーシ。
何の音?そう思いながらまどろんで行く。
こころなしかさっきより音が大きい気がした。

再び目が覚めてしまった。完全にあの音のせいだ。
「まったくなんなのよ」
こんなに何度も目が覚めるのはめずらしい事だった。
ランプを付けて時計を見る。
あれから二時間しか立っていない。
明日も早い、少しでも寝ておきたい。
そう考えてランプを消した。
目をつぶる。
あの音が聞こえる。
なぜか妙に近くから聞こえる気がする。
フッと恐怖感が湧いて来た。部屋の中?
ドアに背を向ける格好で寝ていたOさんの後ろから音がする。
ギーシ、ギーシ、ギーシ。
一定のリズムで聞こえてくる。
ギーシ、ギーシ、ギーシ。
何故か寒気がして来た。


Oさんは、自然と震えてしまう自分が恐くなってしまう。
今までこういう経験はした事がなかった。
ギーシ、ギーシ、ギーシ。
それを見透かすかの様にあの音は続く。
ものすごく喉が乾いていた。
「そうだ、下に行けばまだ母さんが起きてるかも」
もう一度ランプを付け時計を見てみる。
夜更かし好きの母なら起きている時間だった。
少し安心する事が出来た。

ふと時計の文字盤に何かが映り込んでいるのに気づく。
自分の背後で何かが揺れている。
恐怖が体を突き抜ける。
その時。

「オイ」

男の声。低い声。自分を呼んでいる。

Oさんは勢いよく振り返った。

天井から下がる電気の紐。
そこに男が片手でぶら下がっていた。
下半身が無かった。
片手をメチャクチャに振り回していた。

「ギャハハハハハハー」
突然もの凄い形相で笑い出した。

Oさんは気を失ってしまった。

温泉

母と娘が旅行に行った。
娘はもうすぐ嫁ぐ身、最後の母子水入らず。
ありきたりの温泉宿で特徴は海に面した・・・それだけ。

部屋に通されるとやる事がない。
駅から続く温泉街の土産物屋はだいたい覗いて来たし、夕食
までにはまだ時間があった。
そこで二人はお風呂に行く事にした。

「この先の廊下を行くとあります。今でしたら丁度夕日が綺
麗ですよ」
女中さんはそう言って忙しそうに戻って行った。
言われた通りに進むと一本の長い廊下に出た。
左右にはバーや土産物屋が並んでいた。
そこを通り過ぎて行くと、廊下は右に曲がっていた。
その正面には『男湯』『女湯』の暖簾が。
中から音は聞こえない。ふたりで満喫出来そうだ。

支度を済ませ浴場に入ってみると、案の定誰もいない。
「うわー、素敵ねぇ」
娘は感嘆の声を挙げた。
正面は全面開口の窓、窓に沿って長方形の湯船。
その窓の外には夕日に光る一面の海。
二人は早速湯船に入った。

娘は湯船の右奥が仕切られているのに気付いた。
1メートル四方程の小さなもの。
手を入れてみると、飛び上がるほどの熱い湯だった。
「きっと足し湯ようなのね」
母の言葉で娘は途端に興味を失った。

風呂は全く素晴らしいモノだった。
湯加減、見晴らし、なにより二人きりの解放感。
窓と浴槽の境目にはちょうど肘を掛けるくらいの幅があった。
母は右に、娘は左に、二人並んでたわいもない話をしていた。
ゆっくりと優しい時間が過ぎて行く。


その時、母は突然悪寒を感じた。
自分の右の方から冷たいモノが流れて来るのを感じたのだ。
普通ではない、なぜかそう直感した。
あの熱い湯船の方から冷たい水が流れてくる等ありえない。
それに視線の端に何かがチラついている気がしてならない。
急に恐怖感が涌いて来た。
それとなく娘の方を見てみる。

母は血の気が引く思いがした。
娘の表情。これまでに見た事のない表情。
しかも視線は自分の隣を見ている。
口はなにかを言おうとパクパク動いてるが、声は出ない様子。
母は意を決して振り返って見た。

確かに誰もいなかったはず。
また、後から誰も入って来てはいないはず。

が、自分の右隣には見知らぬ女がいた。
しかも自分達と同じ姿勢で肘をついて外を見ている。
長い髪が邪魔して表情まではわからない。
しかしなにか鼻歌のようなものを呟きながら外を見ている。

「おか、あさん、その人・・・」
娘はようやく声を絞り出した。
「ダメ!」
母は自分にも言い聞かすように声を挙げた。


母の声に娘はハッとして口を押さえた。
そう、別の客かも知れない。
そうだとしたら、あんな事を言うのはとても失礼な事だ。
けど。
誰かが入って来たなら気付くはず。
ましてや自分達のすぐ近くに来たなら尚更だ。
やっぱりおかしい。
そう思って母の方を見ると、さっきの女はいなくなっていた。
しかし母に視線を合わすと、今度は洗い場の方を指指している。
そこには。

出入口に一番近い所で勢いよく水をかぶるあの女。
何杯も、何杯も、何杯も、水をかぶっている。

娘は鳥肌が立った。
正に鬼気迫る光景だった。
母の顔色も真っ青になっている。
「もう出ようよ」
小さな声で母に呟いた。
「けどもしあれなら、失礼になるんじゃ」
母も気が動転しているようだった。
「それに」
母が続ける。
「私、あの人の後ろ恐くて通れない」
そう言う母は恐怖からなのか、少し笑みを浮かべていた。


母のその一言で娘は気を失いそうになった。
自分も同じ、恐くて通れない!
「じゃ、どうするの、助け呼ぶ?」
「だから普通のお客さんだったら・・・」
そう答える母にもわかっていた、あの女は異常だ。
第一あれだけ勢い良く水をかぶってるのに、水の音が聞こえ
てこない。
「こわいよ、どーするの、ねぇお母さん」
娘は半泣きになっていた。
「とりあえずここで知らんぷりしときましょ」
母はそう言いまた外を見た。
私が動揺してたんじゃ・・・自分に言い聞かせながら。

不思議だ、さっきは水の音なんて何一つ聞こえやしなかった
のに、背後からはザバーッザバーッと聞こえてくる。
娘は気付いてるのだろうか?
問うてみるのも恐ろしく、身を強ばらせるばかり。
その時。
突然水をかぶる音が止んだ。
娘にも聞こえていたようだ、止んだ瞬間に顔をこちらに向け
て自分を呼んでいる。
娘は泣いていた。

けどお互いに顔を見合わせるばかりで、振り返る勇気がない。
ただただ出て行く事を望むばかり。
そのまましばらく時間が過ぎた。

「出て行ったみたい」
母は娘の方に視線をうつした。
娘は静かに下を向いていた。
ただたまにしゃくりかげるのが聞こえる。
「ほら、もう大丈夫だから、ね、もう出よう」
母の優しい声に諭され、娘はゆっくり顔を上げた。
よかった、心の底からそう思い母の方を見た。

母の後ろ。
熱い湯の入った小さな湯船。
そこにいた。
髪の長いあの女。
熱くて入れるはずなんかない湯船の中に。
湯船一杯に自分の髪を浮かべて。
顔を鼻から上だけ出して。
娘を見て、ただじーっと見つめて。
そしてニヤリと笑った。

「ギャー!」
娘は絶叫して母にすがりついた。

母は娘が何を見てしまったのか知りたくなかった。
寄り添う娘の肌は冷えきってしまっている。
「出よう、おかしいもの。歩けるでしょ」
そう言いながら娘を立たせた。
早く、早く。もどかしくなる。
水の中がこんなに歩き辛いなんて。
それでもなんとか湯船をまたいで洗い場に出た。
娘は顔を覆ったままだから足元もおぼつかない。
出てしまえばもう大丈夫、突然安心感が涌いて来た。
母は最後に湯船を返り見てしまった。
そこには。

あの女が立っていた。
長い髪から水をポタポタ垂らしていた。
下を向いたまま立っていた。
窓一杯のとこに立っていた。

ここで母はまた背筋を寒くする。

立てるはずなんてない。
窓と湯船の境には、肘をつくのがようやくのスペースしか無
いのだから。
浮いてる?
そう言えば女の体は微かに揺れている気がする。
湯煙でよくわからない。

母も叫び声を挙げてしまった。

二人は駆け出した。
体なんか拭いてられない。
急いで浴衣を身に付けると、自分の持ち物もそのままに廊下
に飛び出し一番手前にあった寿司バーに駆け込んだ。
「なんかいる!なんかいるよ、お風呂に!」
娘は大声で板前さんに叫んだ。
最初は怪訝そうな顔で二人の話を聞いていた板前さんも、次
第に顔が青冷めていった。
「その話し、本当なんですよね」
「こんな嘘付いたとこでどうにもなんないでしょ」
娘はバカにされた様な気がして思わず怒鳴りつけてしまった。
それに母も続けた。
「私も確かに見てしまいました。本当です」
母のその一言を聞いた板前はどこかに電話を掛けた。

しばらくするとここの女将さんらしき女性がやって来た。
すこし落ち着きを取り戻した母子は、なにか嫌な事があった
のだな、と直感した。 



女将さんは軽く挨拶をするとゆっくり話しはじめた。

5年程前、一人の女がこの旅館にやって来た。
髪の長い女だった。
なんでもここで働きたいという。
女将は深刻な人手不足からか、すぐに承諾した。
しかし女には一つだけ難点があった。
左目から頬にかけてひどい痣があったのだ。
失礼だが接客はして貰えない、それでも良い?女将は聞く。
構いません、女はそう答えてこの旅館の従業員となった。
女はよく働いた。
それに顔の印象からは想像出来ない明るい性格であった。
ある時女将は女に痣の事を聞いてみた。
嫌がるかと思ったが、女はハキハキと教えてくれた。

ここに来る前に交際していた男が大酒飲みだった事。
その男が悪い仲間と付き合っていた事。
ひどい暴力を振るわれていた事。
その時に付けられた痣なんです、女は明るく答えてくれた。
そんな生活が嫌になって逃げて来たんです。
そう言う女の顔は痣さえなければかなりの美人だったらしい。

それからしばらくして。
この旅館に三人のお供を引き連れた男がやって来た。
そしてある従業員に写真を突き付けた。
「こいつを探している」
あの女だった。
もちろん「知らない」と答えて追い返した。
しかし小さな温泉街、きっとわかってしまうに違いない。
そう考えた女将は方々に手を尽くして女を守った。


しかし女は恐怖で精神が参ってしまった。
あんなに明るかったのにほとんど口を聞こうとしない。
女将は心配したが、女は大丈夫と言うばかり。

ある日、定時になっても女が出勤して来ない。
電話にも出ないし、部屋にもいない。
結局どうにもならないので無断欠勤という事にしてしまった。
ところが。
「大変、女将さん大変よ!」
何事か、従業員に連れられて向かったとこは風呂場だった。
そこに彼女はいた。
窓の外、向かって右に立つ大きな松の枝に首を吊っていた。
急いで降ろしてやったがすでに死んでいた。
悲しい事に、おそらく女は死ぬ前に髪を洗っていたようだ。
自慢のタネだったのだろう。
まだシャンプーの匂いが漂っていた。

不吉だという事でその松は切り倒された。
髪の巻き付いた長いロープと一緒に寺で燃やして貰った。

「・・・それで彼女がぶら下がっていた場所というのが、お客
さんが、その『何か』をご覧になった場所だったんです」
女将さんはそう言いながら母の目をみつめていた。

カーテンの向こう

高校1年のとき、関東にある某高原に移動教室に行った。
俺たちの泊まったホテルは、山の中腹に建つ結構近代的なホテルだった。
消灯前、クラスの連中は部屋や廊下ではしゃぎ回っていたが、
俺と、当時付き合っていたK美、親友のS、そしてSの彼女のT子は、
K美の班の部屋で、その世代特有のくだらない話をして楽しんでいた。
そのうちSとT子は、疲れが出たのか眠ってしまったため、
仕方なく俺とK美は、以前一緒に見た映画の話をしていた。
すると突然、K美が驚いた様子で手を口に当て、窓のほうを指差すではないか。
「どうしたの?」と聞きながら窓のほうを振り向くと、カーテンの閉まっている窓に、
外の街灯に照らされた、肩まで髪を伸ばした女の横向きのシルエットがスーッと、
右から左に移動していくのが見えた。ここは2階だ、ベランダは無い、窓の下は
山の斜面なので2階といってもかなりの高さだ。
「きゃーっ!!!」K美が叫ぶのと同時に俺たちは、転がるようにして部屋を出た。
「どうした、どうした!」廊下にいたクラスメイトが集まってくる。
「いま、窓に女の人の影が・・・」泣きながらK美が言うと、「本当か?」と
みんな次々に部屋に入っていく。部屋ではまだSとT子が寝ていた。
「おい!起きろよ!」誰かが言うと、「なんだよ、うるせーなぁ」とSが、
目をこすりながら起き上がる。
「今、そこの窓になあ・・・・」俺が説明すると。
「そんなわけねーだろ。どごだよ?」と不機嫌そうにSが言う。
「そこだよ、そこ!・・・」
すると全員が注目する窓の、カーテンとカーテンレールの隙間から、
手のひらほどもある巨大な目が、ジーッと俺たちを見つめていた・・・。

妙なもの

知人の叔母さんはいわゆる霊感の強い人で、他人の霊的な相談に乗ったりしており、遠方から手紙で相談を持ちかけられるような人でした。そんな叔母さんのもとに昔届いた手紙の内容として知人が語ってくれた話です。

手紙の主は女学生です。
ある日彼女が学校から帰り、自宅のあたりまで来た時のことです。誰かが彼女の自宅に入っていくのが見えました。
弟か外出していた母が帰ってきたのだな、と彼女は思ったのですが、家に着くと玄関の鍵は閉まっていました。
しばらくして帰ってきた弟がに、さっき一度帰ってきたかと尋ねましたが、知らないという答えでした。彼女は不思議に思ったものの、見間違いだったのだろうと思うことにしました。

しかし、それから彼女は家の中でたびたび妙なものを見ることになったのです。

夕飯時のことです。彼女が居間にいて、ふと台所を見ると、炊事をしている母親の後姿が見えたのですが、何と母親が二人いるのです。彼女が驚いていると、そのうちの片方がくるりとこちらを振り返りました。それは母親ではなく、顔に目鼻がなく、口だけのものが笑っているのでした。


また別の日、彼女が風呂に入り洗髪をした時のことです。風呂場には彼女一人だけのはずなのに、湯船のなかでぽちゃんと水のはねる音がしました。顔を上げて湯船をのぞき込むと、水面にあの顔が映っていたそうです。

またある日のこと。彼女の母親は自宅で洋裁教室を開いており、足踏み式のミシンが置いてある部屋がありました。夜遅くその部屋からミシンを踏む音が聞こえてきたので、まだ生徒さんが残ってるのかな、随分遅いな、と思って彼女は部屋を覗き込みました。すると一台のミシンに女性が向かっているのが見えました。ただその様子は普通ではなく、首と腕をだらりと下に垂らしたまま、足だけめちゃくちゃな勢いでミシンを踏んでいるのです。
しばらく様子をみているとその女性がくるりと振り向きました。またあいつでした。今度はそれはすっくと立ち上がったかと思うと、Aさんに向かって走り出してきたのです。彼女は急いで自分の部屋に逃げ込んだそうです。

私が聞いた手紙の内容はここまでです。
それを見てしまうのは家族の中でも彼女だけだそうで、助けてほしい、という内容だったということです。

気象観測所


仲間が免許を取ったと言うことで、地元だと結構有名な心霊スポットの旧・弥彦山気象観測所に行ってみることにした。

先輩の話によると、施設自体は2階のそこそこ大きな建物で、1階の一部が土砂崩れかなんかで埋まっており、外装は白なのに内部は真っ黒になっていて、2階の一番奥のフロアの天井に何かの器具をぶら下げるような大きなフックがあるらしい。

このフックの話しは俺が言うまでもなく地元だと有名だけど首吊りに何度も使用されているらしい。
俺が一度だけ新聞で見たのは、確か女の人がここで自殺(首吊り?)をしたという新聞記事を
新聞で見た記憶がある。

その施設の近くに観測用に使われていた大きな鉄塔が有る。
鉄塔の直ぐ下は5.60メートルはある崖でここから飛び降りると、下の山の森で死体なんてほぼ上がってこないのは有名な話しらしい。

まぁ、前置きはそんなところで実際、こういう話しが本当なのか仲間4人と行ってみた。
場所は先輩から聞いているし、問題はなかった。
が、行った早々、トラブル発生。

旧・気象観測所は山の奥に有る施設なので、どうしても弥彦山の山道を通らなくてはならないのだが、
この道は冬の間は封鎖されていたのである。
ご丁寧に、工事現場に置いてあるような進入禁止のバリケードも置いてあった。

仕方がないので、俺達はそのバリケードをずらして車1台が通れるくらいの幅を開けて無理矢理進んでいった。

バリケード付近までは民家も若干はあり、明かりがあって心強いことだったが、
バリケード以後は明かりは全くの0で車のライトを消したら、真っ暗な状態となる。
おまけに両脇には木が密集していて、本当の山道に入ってきたことが分かる。

530 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/04/26(木) 16:51
>>529続き

進むにつれ明かりは車のライトのみの状況は変わらず、木の量だけはどんどん増えていった。
殆ど両脇が木。

そして、山道と言うこともあってか結構、急カーブとかが激しくて運転している仲間は初めての
ドライブで随分ビビっていた様に思えた。
この状態で進みながらしばらく立つと、道が分岐している所に出た。

ここが、目印でこの辺りに旧・気象観測所の施設は有るらしい。
路肩に車を止め下り、懐中電灯を辺りに向けるとそいつあった。
不本意にも写真を撮ってくるのを忘れてしまった…。


他のサイトさんで写真を掲示していたので、ちょっと、拝借します。
それを見るとどう言ったモノなのか分かると思う。
http://www.gingin.ne.jp/lap/kaiki/3/niigata/spot016.html

写真を見て分かるようにちょっとした山を登らなくてはならない。
また、写真には写っていないがこの施設の左側に例の鉄塔が建っている。

まぁ、状況説明はこの辺にしておいて、とりあえず俺達はこの「ちょっとした山」を登り始めた。
木々が進行方向に生えているので、小さい木は倒したり、大きい木は避けて登っていった。

すると、仲間の一人が「あぶねー!!」と大きい声で叫んだ。
俺は、突然の声に驚いたが、よく足下を見てみると…、とりあえず、下は崖でした。
木が本当にいっぱい生えていて全く先が見えないのでマジでビビった。

と言うか、この施設は、山の切り崩しの上にあるようで、周りは全部崖です。
土砂崩れでも有ったのか?

こんな状況を繰り返しながら、何とか登り切った。
目の前には、例の施設がある。
施設は、草のツタ(?)が窓から壁からグルグル覆っていてさながらバイオハザードの館みたいな
強烈なイメージがあり、土砂崩れの影響か、土が2階まで達していて、玄関と思われる物だけが
1階部分として姿を見せていた。

531 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/04/26(木) 16:52
>>530続き

まぁ、2階からも入れるようだけど、やっぱり1階から進みたいとみんなで決めてツタが絡まっている
玄関のガラスがないドアを開けて入った。

入って早々、凄い嫌な感じがした。
それに変な臭いがする。

…と思ったら、入って早々にぼっとん便所があった。
これですな、臭いの正体は。

トイレは男子用の便器が4つ、大便用のトイレが2つありかなりの荒れ具合だった。
トイレの隣は、結構大きなフロア(20畳くらいか?)があり全く何もなかった。
唯一、フロアにはドアが有ったが、土砂崩れの影響かドアが全く開かないので無視。
また、床がこれも土砂崩れの影響なのか、盛り上がっていたり陥没していたりして、
とても真っ直ぐは進めない。

続いて玄関まで戻り、2階へ上がる階段を登った。
折り返しの階段となっており、登り切ると宿直室と思われる2段ベットが1つほど置いてあった。
他の部屋はコンクリートむき出しだったのに、この部屋だけは床が木だった。

更に前に進む。

532 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/04/26(木) 16:53
>>531続き

が、この2階は1階よりも床の状態が悪く、とても真っ直ぐは進めない。
床の状態が平らなコンクリートを選んで、進む事になる。

大きなフロアを通過中、先ほどの臭いが段々酷くなってきた…。
つーか、なんだこの臭い…。
あまりの臭いの強烈さに頭痛と吐き気がしてくる…。

便所の臭いじゃなかったのか?
もう、今までに体験したことのない「臭い」と言うより「悪臭」に鼻がどうにかなりそうだ…。

そして、いよいよフックが天井にあって、首吊り自殺が頻繁にあるとか有名の部屋へ…。

あー、分かった。
つーか、臭いの正体。
だってさ、人死んでんじゃん。
白色のダウンジャケットなんて着てるから黄ばみって言うか、何かヘンテコなのしみ出ているから
白って言うかクリーム色って言うか、ある種、迷彩服じゃん。
それにさ、ブラブラしている下には何か変なのあるし。
足から、汁みたいなの滴ってるし。

髪の毛長いって事は、女の人?
顔見たいけど、垂れ下がっててサッパリわかんねーよ。
人間て、こんなにクビ長いっけか?

つーか、懐中電灯持ってる自分もそろそろ手、震えているし。
そろそろ、引き上げ時か?

…等と、冷静ではいられず、大声で叫びながら本気で逃げた。
崖とか気にせず、ほんとは鉄塔の方も見たかったけど、そんな余裕無しでした。
本気で逃げるともうみんな、車の中でガタガタ震えていた。

今まで、本物死体なんて見たこと無かったから、多分俺は本気で震えていたと思う。

急いで、車を飛ばしてそこらの警察に行きたかったけど、地理感覚がないので、
地元まで帰って、地元の警察に事情を説明した。
なんか、色々聞かれて、バリケードの事とかコッテリ怒られた。

結局帰宅したのは、午前4時半頃。
家について、シャワーを浴びたが、どうもあの臭いが鼻から取れなくて、
何度も自分の体洗った。

でも、臭いはまだ鼻に残っていた。
臭いと共に、あの女の人がぶら下がっている情景が出てきて、酒によっても居ないのに、吐いた。
prev next