右手には彼の左手。
今日は花火大会、会場まで向かう車の中
「今年、初花火だなぁ楽しみ」
あ、そういえばと彼は話はじめた
昔…というか学生の頃
髪型をドレッドにしてたらしい。
(縄みたいな束のような髪、ほらレゲエな人がするみたいなやつ)
そんな若き日の彼は
仲間と花火を見に行くことに
「柄の悪いアイツらだけど
根性腐ってる訳じゃなかったんだ
ただ頭悪くて不器用なだけで」
俺を含めねって彼は笑った
照れ隠しに見えた
そして花火を見に行ったんだけど
見てる最中に仲間の一人が
『あの花火お前の頭に似てるな』
打ち上がって花開いたあと垂れ下がるようなそれを見て彼に言ったらしい。
「それからしばらくそんなん言われてたわ」
シッシッシッと笑った後
まぁ嫌じゃなかったけどねと呟いた