ある日、あるレッスンで、それは起きた‥
その教え子は、ライブの日付も2ヶ月先に決まり、必死に練習している最中だった。
リハーサルも兼ねて、30分のステージを意識しての練習。
基本的な発声、リズム、音程はもちろん歌い回しをどうするか?振り付けをどうするか?と、いった詰めの作業をもう始めていた。
そして、小さくも大きな事件が起きた。
リハーサルとしてだが、最後の1曲で、明らかにバテたのか、手を抜いたのか、残念ながらそれが、ハッキリと伝わってきてしまった‥
私は、どうしても、許せなかった。
練習といえば練習なのだが、これからプロでやって行こうと決心している人間が、決してやってはいけない行為に見えたからだ。
言葉は言霊というくらい、1つの言葉にも、魂が入っている。
基本的に、体力が無くなったら気力でそれを、なにがなんでもやりとげる覚悟が必要だと思うからだ。
このくらいの覚悟は、当たり前だと信じているからだ。
大ヒットしている漫画に、ワンピース漫画がある。
是非ともその6巻、ゾロとミホークが闘うシーンを見てほしい。
大剣豪のミホークに対して、ミホークを倒せば世界一になれる!と、闘いを挑む、ゾロの話なのだが、
3本の刀を使ったゾロの猛攻撃は、ミホークは自慢の黒刀ではなく、ナイフ程の簡単な剣であっさりと、あしらわれてしまう。
そして、ついにミホークがその小さな剣で、ゾロの心臓めがけて突き刺した。
しかし、とまどったミホークがゾロに聞く。
何故逃げない?
このまま後、数センチ押し込めば、心臓に到達して死ぬぞ‥?と‥
ゾロは答えた。
ここで引いてしまったら、今までの覚悟や約束、積み上げてきたものが、総て無くしてしまいそうだから、引けない!と‥
ミホークは、たとえこのまま死んでもか‥?と聞く。
ゾロは、逃げるくらいなら、死ぬほうがマシだ!と答えた‥
‥‥。
ゾロは死なない程度に、誠意を持って黒刀で切られ、泣きながらもっと強くなることを誓った。
‥‥。
このくらいの覚悟を持ってほしい時期だったので、どうしても許せなくて、この話をした。
この教え子はもう十分すぎる技術を持っているが、心技体の心をもっと強くして欲しかった。
ここで引いたら終わり。
強い強い覚悟は、言霊となって、その歌声は人の心を必ず打つ。
また1人、次のステージに進んだと、信じている。
(^-^)