A「なぁ、なんとかならないか?頼むよ。そうだ。お前、今日うちに泊まりに来いよ。」 こいつの家には何回か行ったことがあるが、今はちょっと事情が違う。 俺「いや、今

日は無理だわ。うーん、そうだな・・・これ、使ってみろよ。」 俺は準備してきた護符をAに渡す。 俺「これ、部屋に張っておけよ。お前のこと守ってくれるハズだから。」

A「おぉ・・・すまんな!ってかもっと早くによこせよ!」 Aは護符で安心したのか、勝手なことを言って帰っていった。


翌日、またAが俺のところに来る。なんだかゲッソリしている。 どうやら護符は効果がなかったらしい。 A「夜中、寝ていると、何か気配を感じてさ、ふと目が覚めたんだ。

そしたらさ・・・部屋に何か居たんだよ。黒い影が部屋の隅に。 で、また聞こえたんだ。呼ぶ声が。今度は俺の名前呼んでるんだよ。 ○○・・・○○・・・って。」 Aは頭

を抱えている。 俺「あの護符でダメか・・・」 俺は少し考えて、これは昨日のより強力なものだ、と言って別の護符を渡した。 今できることはこれくらいしかない。 Aはそ

れを受け取り、フラフラと帰っていった。


しかし、Aの周りには怪現象が起きつづけた。 聞こえてくる声は変わった。もっと直接的な、死ね・・・死ね・・・死ね・・・という声に変わった。 携帯の留守番電話にも入

っていたり、部屋で寝るのが怖くて、公園のベンチなんかで寝ようとしているときにも聞こえてきた、と言っていた。

Aは1人でブツブツと独り言を言ってることが増えた。 普段から近づく人は少なかったが、以前以上にAに近づく人は減った。 気が狂いかけていたか、もしくはもう狂っていた

のかもしれない。 しばらくして、Aは大学に来なくなった。

そしてそれから数日後、Aが部屋で首を吊って死んでいるのが発見された。


今、俺の手元にはAが持っていたキーホルダーがある。

安物のキーホルダー。 俺が買った、ただのキーホルダー。

Aのおかげで、これは呪いのキーホルダーになった。 ゴミ箱を漁ったり、合鍵作って部屋に忍び込んだり、録音した声を聞かせたりと、 色々努力した甲斐があった。Aが単純

な男で、本当にやり易かった。

これで、俺のコレクションがまた1つ増えた訳だ。 呪いのキーホルダー。 ちゃんと曰く付きの、実際に持っていた人が死んでいる、ホンモノだ。