橋下大阪府知事が就任する直前、大阪府の財政状況は「このまま行けば6年で破産」という危機的状況でした。

タレント弁護士として人気のあった橋下氏が府知事に立候補した時は「素人に政治のナニが分かるのか」と非難されたものだ。

しかし3年連続で大阪府財政を黒字にしたとは驚き。なんと今年度は1000〜1500億のプラスが見込めるそうだ。

橋下府知事はすごい!などと手放しで誉めるつもりはないが、少なくとも年々雪だるま式に増えていた赤字が黒字に転じたことは例え誰の手柄であろうと素晴らしいことだ。

自ら率先して給料を下げ人員削減をし、さらに湯水のように使われていた慣例的常習的な補助金をバッサバッサと切り、「人でなし」の非難の中で施設の廃止や統合を推し進め、ようやくまともな財政になった。

普通の会社ならとっくにつぶれて跡形もないけれど、行政サービスは赤字だろうが何だろうが必要なものは必要だから、そこに甘えていると赤字になってしまうのだろう。

今話題の地元・愛知県を始め、全国の首長選は主張が大きく2つに分かれる。

住民に何かをあげる、支払いを減らす、などのメリットアピール系と全体としての変化をうたう改革系。

このうち「何かメリットを与える系」というのを私は結構不審な気持ちで見聞きしている。

税収が増える見込みもなくむしろ減り続けていくことが分かっていて、それなのに何かを与えるってそれはどこから財源を引っ張ってくるのか?

財源もなくサービスの約束をするのはおかしいし、それでも実施するなら何か別なものを削減するのだろう。
普通に考えておかしいもん。

国家や地方自治体とは比較にならない小さな組織だが、例えばフラーテル。ご存知の通り母体は愛知スポーツ倶楽部です。

全てに優先して強化予算が組まれるため、私のやっている広報を始め交流事業や教育事業などは軒並み予算が無い。

でも自分たちが少ない予算の中で頑張ることにより、選手を代表に送ったりチームをまた1日遠征に送れるのだ。


私は大会遠征に同行しているからよく分かる。チームは少しもお金を無駄には使っていないし、選手たちは少しも怠けていない。

宿舎も食事も質素で贅沢とはとても言えない。
それでもこのチームを支えるためにどれほどの人々がどれほどの苦労をしているかを、選手たちは一番よく知っているのだ。

今年もまた予算や補助金申請や報告や、様々な裏方作業の季節になった。
選手たちのオフシーズンはバックヤードのハイシーズンでもあるかもしれない。

とはいえ選手たちはオフシーズンと言いつつ早くも日本代表合宿に突入している訳であり、日々予算は使われていく宿命にある。

夕張市の次に沈没すると言われていた大阪府が不死鳥のように蘇って来たというニュースで見て、驚きと共に様々な人々の血のにじむような努力の存在を強く感じた。


国の方策として、収入の低い人ほど健康保険料の負担が増えそうだとも聞く。そのスコア実に1.8倍(笑)笑うしかありませんね。更に扶養控除も無くなるとか。

でもその分子ども手当がでるから子どもがいる家庭はチャラになるでしょ、ということらしい。


大阪府では1000〜1500億の資金を中学校の給食実施に充てるそうだ。
いいと思いますね!


フラーテルでももし大金が転がり込んできたりしたとして、それを「フラーテルカップに参加している子どもたちに月20000円あげる」などと言ったら私は理事会で机の上に立って絶叫して反対しますよ(笑)バカじゃないのか?と。

でももしそれを指導会やスクールの定期開催や大会運営費などに充てると言うなら私は賛成します。

個の利益は体感しやすく満足度が高いが大抵は一過性のものである。
公共の利益は体感しづらく劇的な満足度向上には繋がりにくいが、継続していくことで全体的な向上に繋がっていく。


組織における資金とは、例えれば木の実であり、食べてしまえばその時ははおいしい思いをするけれど今ある木の実を食べ終わればそれで終わりであり、全員に行き渡ることはない。

でも木の実を土に埋めて芽が出て花が咲くまで長い時間をかけて育てれば、大きな木になって何百倍の実をつける可能性だってあるのだ。


大きな木は地中深くに根を張り水を吸う。
雨や風を防いで安定した環境を作ってくれる。


こういう不況の時代だからこそ、目先の一時的な利益ではなく少しだけでも先を見た方策が必要なのではないかと思う。

それにしても大阪府はすごい。不可能を可能にした。ダメだムリだと言われても、何事もやってみなければ分からないものなのだなあとつくづく思った。