「せんせーっ!」
声を弾ませた足音と同時に、いつもの顔があった。
「騒々しいぞ」
といちおう、教師らしくたしなめる。
「そんなことよりせんせー、話してくれよっ」
授業は真面目に聞かないくせに、どうして――

「それじゃあ、」

――昼と夕方の光が交わり、図書室を照らす。
学校司書教諭であるおれの、この時代での仕事場。

「おれの聞いた話は――」

いつかあったかもしれない。
けれども、いつか望んでいた夢物語を――

「始めようか」


End