夕方、私が外出から帰ると母が身支度をしていた




「どっか行くの?」




「ああ、帰って来たね。これから娘達が来るから、ちょっと家を空けるよ」




たどたどしい字面で「出かけて来ます」とメモも書いている




「そう。じゃあ夕飯食べて来るんだね」




その日、待てど暮らせど姉達が来なかった事を除けば、どこにでもある、家族の風景なのだが




進行する母の認知症を思えば、これもまた我が家の日常なのである