いつだって、その余裕そうな顔が嫌いだった。
自分の何歩先も歩き、その上こちらを振り返ってこう言うのだ。


「リタっち、大丈夫?」


どんなに追い付こうと必死に走ったって、彼には到底追い付くことなんてできない。
そんなのは分かってる。
―――分かっては、いるけど。
それでも走る。
無駄と分かっていても、それに抗うかのように走り続ける。


あなたの存在は近くて遠い。
そして、どこか遠くて近い――――









「ふふ、リタったら安心して眠ってるみたいですね」
そういうエステルの前にはレイヴンに負んぶされながら寝ているリタがいた。
「ったく……疲れてたんなら意地はらずに言えってんだ………それにしても、おっさん。端から見ると、まんま親子だな」
ユーリがそう言って笑うと、レイヴンは「おっさんの子だったら、もっと素直な子よ?」と言い返す。
しかし、それ以上は寝ているリタの無意識なチョップによって遮られた。
「……それによ?リタっちがこの前『おっさんと親子に見られるなんて冗談じゃないっ!!』って言ってたし」
レイヴンがそう答えると、ユーリとエステルは笑いだした。
何が何だか分からないレイヴンはきょとんとしていたが、ユーリとエステルはそのことについては何も答えなかった。
その代わり、二人はにっこり笑ってこう言った。
「レイヴン、リタのことよろしくお願いしますね」
「んじゃ、エステル。お邪魔虫は退散するか」
「はい」
レイヴンが引き止めるよりも早く、二人はそそくさと何処かへ行ってしまった。
そうして、図らずも二人きりになったレイヴンはため息を吐く。


(……おっさんにどうしろっていうのよ?)


心の中で呟いた言葉は、しかし誰にも届くことはなかった………。








→あとがき
初のレイリタ(と言い切ってみせる)です。
只今、二次はリハビリ中なのでレイリタでリハビリしてみました。
そのうちユリエスも書きます。
てか、まともな二次が書けるようになってみせます!(←そこからっ!?)