話題:突発的文章・物語・詩
「愛しているよ。」
キミはそう言う。
でも、知っているよ。
キミの瞳には自分しか映っていないこと。
「愛している」と言うのは、愛されたいが為の確認作業だ。
「愛している」の言葉を聞くたびに体の中を風を通り抜ける。
「じゃあ、愛って何?」
と問えば、
「こうしていること」とキミは答える。
それならば、この瞬間の酷く滑稽なのに笑えない感情が愛なのだろうか。
キミが必要としているものが確認作業の相手なら、私がキミに求めているのは何だろう。
きっと、自分自身を見ないためだ。
自分の心から目を逸らしている点はどちらも一緒か。
似た者同士は惹かれ合うらしいし。
キミはきっと、私がロボットになっても気付かないよ。
私もきっと、都合が良い。
この感情を切り捨ててしまえるから。
ロボットの彼女は躊躇わず言うよ。
「愛している」と。
感情を持たないことが理想的な関係に見えてくる不思議。
いや、愛なんて脳が作り出した錯覚なのかもしれない。
それなら自動操縦機能も納得がいく。
キミは私を通して自分の愛に自惚れる。
私は私を見たくないから、ひねくれる。
キミのように都合の良い部分ばかり見られないから。
だから、キミは言うんだね。
「愛しているよ」
キレイな自分だけを私の瞳に映して。