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デルタ地帯

裸になってじゃれ合う二人が
絡み付いた黒い糸に埋もれて
歯軋りをすれば頂点が見える
三角形に根を張る夜の森
手を伸ばしたら枝が折れていた

飛翔

スケートリンクに羽根が落ちている
踵を鳴らして空へ挑むと
掴んだ光を離さないように
時間が止まれば良いと思った

目に見えるライバル達よりも
軸の定まらぬ自分が怖くて
回転技から遠去かる日々は
体が重たい悪夢みたいだ

到達点を決めるのはいつも
気まぐれな天使が降りて来る度
僕はこの場所で祈りを捧げ
新しい靴に履き替えていた

もう一度あの夢に触れてみたかった
沢山の歓声に包まれて
迷いの消えた心の中に
透明な銀河は駆け抜けてゆく

体に染み付くチャイコフスキーが
鼓膜を伝って足を震わせる

呼吸を整えたリンクの上に
身を置く僕が白鳥になるなら
届いた花束に羽根を添えて
視界の果てまで飛んで行きたい
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